【尾車親方の目】貴景勝“猛牛2世”だ 「大成しない」ジンクスを破れ

スポーツ報知
栃ノ心(左)をおしで破った貴景勝(カメラ・朝田 秀司)

◆大相撲春場所千秋楽 ○貴景勝(押し出し)栃ノ心●(24日・エディオンアリーナ大阪)

 これぞ貴景勝の立ち合いだ。顎を引いて栃ノ心の胸にジェット機が飛び立つように当たった。栃ノ心に反撃の隙を与えない馬力と圧力。14日目の逸ノ城との一番で見せた中途半端なもろ手の立ち合いを猛省したのか。「これがダメなら大関はない」という気持ちが電車道に表れた。

 大関に昇進しても貴景勝はこの立ち合いを貫くべきだ。当たりが弱いと二の矢、三の矢が出ない。それは、今場所の黒星が教えてくれた。さらに「押し相撲の大関は大成しない」というジンクスもある。確かに八角理事長や高砂親方(元大関・朝潮)は組んでも強かった。しかし貴景勝には、まわしは似合わない。馬力を磨くしかない。幸い馬力は稽古をすれば落ちない。持って生まれた押し相撲の体形を持っている。猛稽古でさらにその上を目指せ。

 貴景勝の銀色の締め込みは私の師匠、先代・佐渡ケ嶽親方(元横綱・琴桜)と同じ。先代は前まわしを取ったりもしたが、基本的には当たりが身上。そして土俵の上で仕切った時、相手を震え上がらせる怖さがあった。“猛牛”と呼ばれたゆえんだ。貴景勝よ、“猛牛2世”を目指してほしい。(スポーツ報知評論家)

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