羽生まさかのSP7位「思いが入りすぎてしまった」

2017年4月21日6時0分  スポーツ報知
  • 演技終了後、腰に手を当てて厳しい表情を浮かべる羽生

 ◆フィギュアスケート 国別対抗戦 第1日▽男子SP(20日、東京・代々木第一体育館)

 男子ショートプログラム(SP)は世界選手権金メダルの羽生結弦(22)=ANA=が今季2番目に悪い83・51点で7位に沈んだ。プリンスの「レッツ・ゴー・クレイジー」のプログラムはノーミス演技を一度もできなかった。21日はプリンスの一周忌。ラストを飾れず「申し訳ない」と肩を落とした。

 天を仰いだ羽生の口は「ごめんなさい」と動いた。「明日(21日)がプリンスさんの命日だったので、すごく意識していたし、集中してやろうと思っていた。申し訳ない気持ちでいっぱいです」。ノーミスを期待された今季最終戦で、今季2番目に悪い83・51点。SP7位は13年世界選手権の9位以来の低迷だった。

 最終滑走。全身から気迫がみなぎっていた。天国のプリンスを思っていた。今季一番の演技を届けたい。しかし、体が応じなかった。「自分の中で余計な気持ち、思いが入りすぎてしまった」。冒頭の4回転ループが1回転になり、会場から悲鳴が上がった。続く連続ジャンプは4回転サルコーの着氷で前方に右手をつき、単発になった。「今は悔しくて頭が全然回らない。この悔しさを糧にして、明日爆発させたい」と声を震わせた。

 振付師のバトル氏が「五輪1年前で何かを試したり、挑戦するのに適した時期」と選んだのが、今季滑ったロックナンバー「レッツ・ゴー・クレイジー」だった。新プログラム決断の後は研究を重ね、ライブ感を大切にしてきた。2戦目のスケートカナダで髪の毛をワックスで固め、3戦目のNHK杯で衣装を白からプリンスのような鮮やかな紫に変えた。4戦目のGPファイナルでは振り付けにアドリブを入れて殻を破った。今大会で“羽生プリンス”を完成させるはずだった。「こんなんじゃプリンスさんの顔に泥を塗っているようなもの」と自分を責めた。

 四大陸選手権、世界選手権に続きSPでつまずき、宇野の得点を3試合続けて下回った。以前はSPでトップに立っての逃げ切りが多かったが「ショートに対して苦手意識ができ始めている」。世界選手権ではフリーで世界最高得点を記録し、5位から逆転優勝。帰国後も「ショートが悔やまれるな…って気持ちが強まっている」と打ち明けた。今大会はSPにかける思いが特別だった。「何より自信があった。できると思っていたからこそ悔しい」

 21日のフリーは今季最後の演技となる。気持ちの持っていき方を問われ、答えた。「失敗があればあるほど悔しい気持ちがあって、それが成長につながると思っているので、別に切り替えなくていい。悔しい気持ちがあるから、明日ワクワクできる」。煮えたぎる気持ちを、ぶつけるだけだ。(高木 恵)

 ◆プリンス 本名はプリンス・ロジャーズ・ネルソン。1958年6月7日、米ミネソタ州ミネアポリス出身。ジャズピアニストの父とジャズシンガーの母を持ち、1978年にアルバム「FOR YOU」でデビュー。1984年に自伝的映画「パープル・レイン」の同名アルバムなどを発表。累計売り上げは1億枚以上。グラミー賞を7度受賞し、04年にロックの殿堂入り。16年4月21日朝、自宅兼音楽スタジオのエレベーター内で意識不明の状態で発見された。死因は鎮痛作用のある医療用麻薬の過剰摂取だった。

 ◆世界国別対抗戦 国際スケート連盟(ISU)の規定に基づいた当該シーズン上位6か国が参加。男女シングルは2人、ペアとアイスダンスは1組。各カテゴリーのSP、フリーともに1位を12ポイントとし、順位ごとにポイントを獲得。得たポイントの合計でチームの順位を決定する。得点はISU公認だが、世界ランクのポイントには反映されない。

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