高木菜那、姉の意地で5000M2位自力切符…妹・美帆と出場決定

スポーツ報知
姉妹で平昌五輪代表に選出された高木菜那(右)と妹の美帆

◆スピードスケート 平昌五輪代表選考会最終日(30日、長野市エムウエーブ)

 女子5000メートルと男子1万メートルを行い、試合後に平昌五輪の男女日本代表16選手が発表された。女子5000メートルでは高木菜那(25)=日本電産サンキョー=が7分12秒18の2位。2大会連続、妹の美帆(23)=日体大助手=と姉妹そろって初めての出場を決めた。押切美沙紀(25)=富士急=は7分10秒68の1位で大逆転での切符。菊池彩花(30)=富士急=も2大会連続で、ともに異なる競技の妹と五輪の舞台で活躍を目指す。

 執念で五輪代表をつかみ取った。高木菜は5000メートルの残り3周でペースを大きく崩すことなく、歯を食いしばりゴールに飛び込んだ。「朝から調子が良くなかったけど、粘りきれて2番に入れた。諦めないレースで切符も決まったので良かった」。優勝した押切とは4年前の選考会でも同走だった。昨季は常に団体追い抜きのメンバーを組み、同じようにけがや不振に苦しんできた2人は「つらかったけど、良かったね」と笑顔で抱き合った。

 10年バンクーバー五輪で当時15歳の妹が出場を果たした。「先に行かれたくない気持ちが強かった」と悔しさを抱えながら、現地で声援を送った。4年後のソチ五輪では自身が夢をかなえたが、美帆は落選。「両親が素直に喜べる大会にしたい。2人で金メダルを取って、恩返しをするのが一番」と家族を思い、この4年を過ごしてきた。

 だが、昨季開幕前に右膝を痛めた。状態は一進一退で、この夏も別メニューで過ごすことが珍しくなかった。W杯前半4大会は団体追い抜きで3度の世界新に貢献。マススタートでも経験を生かした巧みなレース運びを見せたが、今大会は3000メートル5位、1500メートルで7位と個人種目で満足いく結果が残せなかった。

 この日のレース前には、美帆から「全力で行け!」と背中を押された。団体追い抜きの実績を考慮すれば代表入りの可能性は高かったが、自力でもぎ取った切符は格別だ。「やっと姉妹で五輪に行けることになった。親には今回最高に楽しんで見てもらいたい。五輪で結果を残してから『ありがとう』って伝えたい」。高木姉妹の熱い冬が、ここから始まる。(林 直史)

 ◆高木美、狙う複数メダル
 15歳だった中学生以来、2大会ぶりの五輪へ、金を含む複数メダルでの雪辱を誓った。「(前回)ソチ五輪に出られなかった悔しさがあって、やっと五輪の切符を手にできた」。W杯で4戦全勝の1500メートルなど個人3種目と、姉の高木菜と組んで世界記録を連発した団体追い抜きでも選出。「団体追い抜きでは金メダルを狙い、個人種目でも今まで以上の戦いができるように」と頂点をにらんだ。

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