伊藤有希、W杯第5戦は惜しくも4位 14日の第6戦で地元表彰台目指す

スポーツ報知
1回目に93・5メートルをマークした伊藤

◆W杯ジャンプ女子札幌大会第1日(13日、札幌・宮の森ジャンプ場)

 個人第5戦が行われ、総合4位につける伊藤有希(23)=土屋ホーム=は4位に入った。12日の予選は83メートルで6位通過だったが、1回目で93・5メートルをマーク。2回目も91・5メートルの好記録。平昌五輪(2月9日開幕)のメダル候補が、地元応援団の後押しを受け、14日の第6戦で表彰台を狙う。同五輪代表の高梨沙羅(21)=クラレ=は3位で、W杯男女歴代単独最多54勝目は持ち越し。勢藤優花(20)=北海道ハイテクAC=は11位だった。

 慣れ親しんだ北海道の地で光明が差した。伊藤の1回目。踏み切りのタイミングがわずかに遅れながら、93・5メートル地点に着地。優勝したルンビ(ノルウェー)の1回目に2メートル差の暫定3位に食い込んだ。2回目は91・5メートルで順位を一つ落としたが、昨年末から苦しんでいた課題のアプローチは「感覚は良い。これから良くなる過程を踏めた」と好感触を得た。

 ある心の変化が生まれた。伊藤は、昨年の札幌大会でW杯初優勝。初めて表彰台の頂点に立ち「うれしかったけれど、それ以上に周りの方が喜んでくれた。その笑顔がパワーになり、自分のために何かするというより、何かをして他の人が喜ぶ顔が見たい」と思うようになった。この日も故郷の下川町から約30人の応援団が駆けつけ、太鼓をたたき、小旗を振って背中を押した。

 観客が入らない予選では83メートルの6位に沈んだが、ゲートがさらに低くなった本戦では、声援に応えるかのようにジャンプアップ。3位の高梨に0・9ポイント及ばず、3戦ぶりのW杯表彰台は逃したが、母の真智恵さん(49)は「やるべきことを分かっているし、笑顔もある。いつも通りやれている」と優しく見つめた。

 試合後、応援団の元へ向かい「応援ありがとう。勝てなくてすいません」と頭を下げた。すぐに「明日も行くよ」「応援してるよ」と励まされると、笑顔で抱き合いパワーをもらった。

 14日は平昌五輪前最後の“ホーム試合”。「地元の応援団の方のためにも表彰台に上がらないと」。2大会連続の五輪切符をつかんだからこそ、地元W杯のメダルで弾みをつけ、笑顔の輪を広げる。(宮崎 亮太)

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