高梨沙羅、2位!自己ワースト7戦連続未勝利も「着実に前進できている」

スポーツ報知
2回目に93メートルをマークした高梨は、着地でテレマークを決める(カメラ・相川 和寛)

◆W杯ジャンプ女子札幌大会 最終日(14日、札幌・宮の森ジャンプ場)

 個人第6戦(HS100メートル、K点90メートル)が行われ、昨季個人総合女王の高梨沙羅(21)=クラレ=は90メートル、93メートルの合計231・4点で今季最高の2位に入った。自己ワースト7戦連続未勝利でW杯歴代単独最多54勝を逃したが、2回目は飛型点で全体トップタイの55・5点を稼ぎ、テレマーク姿勢に手応えを口にした。マーレン・ルンビ(ノルウェー)が、2回目に最長不倒98・5メートルで3連勝。伊藤有希(23)=土屋ホーム=は5位だった。

 沙羅がまた1つ、明るい感触を得た。「着実に前進できている」。3位で迎えた2回目が会心だった。踏み切りから着地まできれいにまとめ、93メートル。1回目で9点、飛距離で約4・5メートル差をつけられた2位のアルトハウスを逆転し、今季1、2位を独占してきた“2強”の牙城を初めて崩した。「前日(13日)より修正できていたし、そこが結果につながった」とうなずいた。

 飛型点に進化がある。1回目は51点と伸び悩んだが、2回目は今季自身最高の55・5点。決して偶然ではない。「(1回目から修正し)頭から倒れ込むようなイメージでやったら(テレマークが)入った。頭から突っ込むなんて、試すまでは頭がおかしい考え方だと思っていた」と笑う。思い切って変える勇気で殻を破れた。かつて沙羅は飛型点について「満点(60点)が夢の一つ」と語った。理想に一歩近づけたのもうれしい。

 3連勝で個人総合首位を走るルンビとは20・2点、約10メートル差。沙羅は「テイクオフのインパクトに厚みがあって(力強く)、かなり男子的なジャンプ」と舌を巻きつつ、自己ワースト7戦未勝利の現実もしっかり受け止めている。カンテ(踏み切り台)に力を伝えきれないこと、飛び出し後に両足の板が開いてスピードのロスがあること。「自分が完全ではない中なので、まだ伸びしろもある」。全日本連盟の斉藤智治ジャンプ部長も「2本目を続ければいけるのではないか。蔵王(大会)から仕切り直しだね」と心配していない。

 平昌五輪までW杯個人戦は残り6試合。この日はジャンプスーツを普段の黒から茶色に替えるなど、試行錯誤を続ける。「今後も少しずつ(用具など)テストしたい。(2強に)何とか食らいついて、追い越したい」。沙羅はまだまだ伸びる。(細野 友司)

 ★沙羅に聞く

 ―今季最高の2位。

 「カタリナ選手(アルトハウス)は『2本目は出し切れていない』ということで、運もあったと思う。次(蔵王大会)につなげたい」

 ―スーツがいつもと違う。

 「スーツによって、着心地が柔らかかったり硬かったり、生地の滑らかさも違う。色は私自身もよく分からないけど、茶色ですかね…」

 ―飛び出しに課題がある。

 「(踏み切り後に)若干スキーが開き気味で、ブレーキになってしまっている。(開かずに)ストレートで進めばスピードも保てるし、後半(の空中姿勢)にもつながっていくと思う」

 ―ルンビの強さをどう見ているか。

 「もともと脚の強い選手だけど、今年はテクニックも安定している」

 ―地元での試合。連日多くの観客が詰めかけた。

 「たくさんの応援が力になった。糧にして五輪まで集中していきたい」

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