伊藤有希、地元V逃すも笑顔の5位 ヤンネコーチ「1週間前と別人」平昌へ照準

スポーツ報知
試合後、ファンにサイン色紙を手渡し笑顔を見せる伊藤

◆W杯ジャンプ女子札幌大会 最終日(14日、札幌・宮の森ジャンプ場)

 個人第6戦が行われ、総合4位につける伊藤有希(23)=土屋ホーム=は5位だった。4戦ぶりのW杯表彰台には手が届かなかったが、所属先のヤンネ・バータイネン・コーチ(42)は「1週間前とは別人」と高評価。蔵王大会(19日~21日)などを経て、2月9日開幕の平昌五輪へ照準を合わせていく。高梨沙羅(21)=クラレ=は今季最高の2位。道勢では勢藤優花(20)=北海道ハイテクAC=が23位、岩佐明香(21)=日大=が29位に入った。

 5位でも、伊藤の表情はすがすがしかった。「成績にはつながらないけれど、滑りが少しずつ良くなっている」。1回目で87メートル、2回目でも90メートルの好飛躍。それでも優勝したルンビ(ノルウェー)とは30点以上の差がついた。前日(13日)の個人第5戦から順位を1つ落とし、今季最高の2位に入った高梨にも水をあけられた。

 地元・札幌で凱旋Vとはならなかったが、明るく前向きでいられるのは、着実に前進している証しだ。伊藤を指導するフィンランド人のヤンネコーチは言う。「1週間前とは完全に別人。失っていた良い感覚を取り戻し、前より笑顔が増えた」。昨年12月のリレハンメル大会(ノルウェー)を終えてからアプローチから踏み切りまでの感覚が乱れ、年末年始は下川町や札幌市内で60本近くを飛び打開策を模索してきた。

 結果には表れていないが、膝の重心がやや後ろに乗るようになり、飛び出し時の重心移動がスムーズになった。ヤンネコーチは「正しく進んでいるので心配していない。ジャンプの成績は急に良くならない。(五輪までの)1か月で自信をつけて良いイメージを作れば、メダルの可能性はある」と断言した。

 2大会連続の五輪切符を手にした今、伊藤は自身が育った下川ジャンプ少年団の標語「どうせ飛ぶなら世界一」の実現を思い描いている。「目指しているところはすごくシンプル。そこに向かうためにいろいろ作戦を練っていきたい」。平昌五輪まで1か月。周りに流されず、伊藤は自分の歩調で大舞台に照準を定めていく。(宮崎 亮太)

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