平野歩夢、史上初究極の大技「連続4回転」…冬季Xゲーム・男子スーパーパイプ

スポーツ報知
 

 スキーなどの競技を独自ルールで実施する「冬季Xゲーム」は28日、米国・コロラド州アスペンで行われ、平野歩夢(19)=木下グループ=がスノーボードの男子スーパーパイプを99・00点で制し、ハーフパイプ(HP)で金メダルを狙う平昌五輪に弾みをつけた。Xゲームのこの種目では、2016年のオスロ大会に続いて2度目の優勝。平昌五輪代表の片山来夢(22)=バートン=は6位だった。

 異次元の滑りだった。平野が、軸を横にずらしながら縦に2回転、横に4回転する「ダブルコーク1440」(DC14)の連続技で観客のド肝を抜いた。3回目の演技では右足前の正スタンスから繰り出すフロントDC14と、逆スタンスから入るキャブDC14の究極の連続技を成功。100点満点で99・00点をたたき出し「クリーンにできて、初めて大会でも決められたのが一番」。米国のテレビ・NBCのスポーツサイトは、この高難度技について「ハーフパイプの大会で着地が決まったのは史上初」と紹介。「歴史を作った」とまで絶賛してたたえた。

 前回のソチ五輪は惜しくも銀メダル。技の進化が著しいHPでは、4年前の優勝者と同等の演技構成では頂点に立てない。平野は「やってこなかったことにチャレンジする」と本格的な筋力トレーニングに取り組み始めた。「体を大きくして重たくなるとバランスが悪くなる」と腕回りの筋肉や背筋は控えめにし、技の成否を左右する着地の衝撃に耐えられるよう腹筋を鍛え上げた。日本の治部忠重コーチも「時間があれば、体が上がらなくなるまで腹筋をしていた」。昨年3月の大会で着地に失敗して左膝と腹部を強打し、3か月の戦線離脱を余儀なくされた時も、五輪決勝などをイメージし、気持ちを前向きに保った。4年間の腹筋トレで、「ガンとくる着地に耐えられるようになった」と、この日の成功につなげた。

 06年トリノ、10年バンクーバー金メダルのショーン・ホワイト(米国)は出なかったが、世界選手権2連覇中のスコット・ジェームズ(オーストラリア)を2位に従え、最高峰のプロ大会で実力を示した。若きライダーは平昌五輪へ弾みをつける金メダルと自信をつかみとった。

 ◆平昌五輪のスノーボード男子ハーフパイプ 30人で争われ、各国・地域の出場枠は最大4。2月13日午後1時から予選、14日午前10時30分から決勝が行われる。98年長野大会から正式種目に採用され、日本勢のメダルは14年ソチ大会銀の平野、銅の平岡卓の2つ。

 ◆Xゲーム 世界最高峰のプロスポーツの祭典。世界ランキング上位者や、世界大会での活躍が認められた招待選手しか出場することができない。賞金やメディア露出度、人気が高いためアマチュアの国際統括団体主催の大会よりもXゲームを選んで出場する選手も多く、Xゲームを年間最高峰の大会と位置づける見方もある。

 ◆平野 歩夢(ひらの・あゆむ)1998年11月29日、新潟県村上市生まれ。19歳。新潟・開志国際高から日大に進学。4歳でスノーボードを始める。14年ソチ五輪では銀メダルを獲得。雪上競技で五輪史上最年少となる15歳74日で表彰台に立った。160センチ、50キロ。

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