坂本花織、ほろ苦五輪デビュー「ポカーンってなった」

スポーツ報知
演技を終えた坂本花織は、天井を見上げて悔しそうな表情を見せた(カメラ・酒井 悠一)

◆平昌五輪第4日 ▽フィギュアスケート団体女子フリー(12日・江陵アイスアリーナ)

 団体は上位5チームによるフリーが行われ、女子の坂本花織(17)=シスメックス=は131・91点で5位。ほろ苦五輪デビューとなった。一時帰国し再調整、21日からの個人戦に悔しさをぶつける。男子の田中刑事(23)=倉敷芸術科学大大学院=も148・36点で5位にとどまり、日本は2大会連続の5位。カナダが金メダルに輝いた。

 演技を終えた坂本は、チーム席の日本選手に向かって両手を合わせた。「自分が足を引っ張ってしまった。申し訳ございません」。自己ベストより10点以上低い131・91点にとどまり、最下位の5位。ほろ苦い五輪デビューとなった。

 五輪代表選考会の全日本選手権よりも、優勝した1月の四大陸選手権よりも足が震えていた。「ジャンプのタイミングが合わなかった」。冒頭のフリップ―トウループの連続3回転は単発になった。ただ、諦めることはなかった。絶対に転んでなるものか。坂本の気迫がみなぎった。その後のジャンプは着氷でバランスを崩しながらも、こらえた。「最初のミスをどうにかリカバリーしようと思って。練習だったらこけているジャンプも意地で耐えました」

 直前にソウルで2泊3日の合宿を行い、現地入り後は調子を落としていたジャンプの修正に取り組み光が見えかけていた。「本番はポカーンってなった。あまり五輪という感じはしなかったと表で思っていても、中では緊張があったのかも」と振り返った。

 5歳で始めたスケート。同じ中野園子コーチに師事する三原舞依は回想する。現在も拠点とする神戸・ポートアイランドのリンクへ初めて行った時のことだ。ヘルメットをかぶり、壁につかまり立ちしながら、衝撃の光景を目にした。自分より1歳下の坂本が、リンクの真ん中で笑いながらスピンをしていた。「かおちゃんは笑うと目がなくなる。ずっと回りながら、目がなくなっていた」。滑ることが楽しくてしかたなかった。

 次は21日からの個人戦へ向かう。13日にも一時帰国し、国内で再調整する。「もう一回締め直して、全日本や四大陸のような演技をできるようにしたい。ガッツリ頑張ります」。前戦の四大陸選手権で自己ベストを更新し優勝した。伸び盛りの17歳が、勢いを取り戻す。(高木 恵)   

 ◆坂本 花織(さかもと・かおり)2000年4月9日、兵庫県生まれ。17歳。神戸野田高2年。3歳でNHK連続テレビ小説「てるてる家族」を見てフィギュアに憧れ、4歳で始めた。昨季ジュニアGPシリーズ日本大会で優勝し、ファイナルと世界ジュニアで3位。全日本ジュニア優勝。シニアに転向した今季はスケートアメリカ2位、全日本選手権2位、四大陸選手権優勝。特技は水泳、折り紙。158センチ。

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