原大智、日本男子モーグル初の銅!日本人第1号

スポーツ報知

◆平昌五輪第4日 ▽フリースタイル男子モーグル (12日・フェニックス・スノーパーク)

 モーグル男子決勝で原大智(20)=日大=が銅メダルを獲得し、今大会の日本人第1号メダリストに輝いた。20人による1回目を3位、12人で争った2回目をトップで通過し、6人で争う3回目に82・19点で3位。同競技の日本人では98年金、02年銅の里谷多英に次ぐ2人目のメダルで男子では初の快挙だ。14年ソチ五輪銀メダルのミカエル・キングズベリー(25)=カナダ=が86・63点で金メダルに輝いた。

決勝3本とも安定80点超え 何が起きたか、自分でも理解できなかった。決勝6人の最終滑走だった原は、ゴール後、祈るように得点を待った。82・19点。両手を上げた。頭が真っ白になった。「3位、3位」。現実を受け入れられない自分に何度も言い聞かせた。

 日本男子初の銅メダルは今大会の日本人第1号だ。「楽しくて楽しくて仕方なかった。ミスる気もしなかった」。転倒者が続出したコブも難なく滑り、決勝は3本全て80点超えの安定した滑りを見せつけた。「僕の好きなコース。前に前に行くことしか考えていなかった」と攻めた結果がメダルになった。

 中学卒業と同時に、強豪国・カナダへ留学した。世界一になりたいという一心だった。最初は世界の壁に阻まれた。「楽しかったより、詳しく覚えていないほどつらかった」と実力差を痛感した。しかし「そこで鍛えられた精神面が(五輪で)出た」と選択は間違っていなかった。

亡き平子コーチへ「いいご報告」 13年8月、13歳の時から指導してくれた平子剛コーチが27歳で亡くなった。当時は「ウソついているんじゃないかなって。まだ若いし。ご遺体を見てから『もうこの世にいないんだな』って」と涙があふれ出た。共に過ごした約3年間の日々に心から感謝している。棺(ひつぎ)の前で「五輪に出て金メダルを取ります」と誓った。色は違ったが、メダルの約束は果たした。「いいご報告ができると思う」とうなずいた。

 1学年下の堀島が17年世界選手権で2冠を達成し、周囲の注目が集中するようになった。「僕は目立ちたがり屋。(堀島)行真ばっかり(注目)になったので、すごくつらかった」。反骨心を内に秘め、W杯で1度も表彰台に立ったことのない伏兵が、五輪という最高の舞台で他の日本勢を上回った。これまで女子ばかり注目されていたモーグル界に男子の時代到来を告げた。

(小林 玲花)

 ◆原 大智(はら・だいち)1997年3月4日、東京・渋谷区生まれ。20歳。日大1年。両親の影響で3歳からスキーを始め、12歳でモーグルを本格的に始める。16歳でカナダ・ウィスラーのカナディアン・スポーツ・ビジネス・アカデミーへ留学。2015年全日本選手権優勝。W杯では15~16年ランク日本勢トップの8位。今季の最高成績は張家口・太舞大会(中国)の9位。172センチ、75キロ。

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