松本遥奈、幼なじみの思い乗せた新ゴーグルで6位入賞

スポーツ報知
6位入賞を果たし、笑顔で会場から引き揚げる松本

 女子ハーフパイプ 平昌五輪スノーボード女子ハーフパイプ決勝が13日行われ、札幌市出身の松本遥奈(24)=クルーズ=が6位入賞を果たした。幼なじみで2010年バンクーバー五輪同男子代表だった工藤洸平さん(28)は初の五輪で健闘した松本をたたえた。また、スピードスケート女子1500メートルで初の銀メダルに輝いた高木美帆(23)=日体大助手、帯広南商高出=、ジャンプ女子個人ノーマルヒルで銅メダルを獲得した高梨沙羅(21)=クラレ、上川町出身=へ、北海道は「道民栄誉賞」授与の検討に入った。

 堂々たる姿がまぶしかった。横浜市内の仕事先で観戦したという工藤さんは「遥奈はベストを尽くし、すごく良かった。空中の安定感とバランスが取れていた。めっちゃ褒めてあげたい」と温かい言葉でねぎらった。

 妹のようにかわいがった。同郷の2人の実家は車で5分ほどの距離。親同士の仲が良く、松本が小学4年でハーフパイプにのめり込むきっかけを作ったのも工藤さんだった。以降、工藤さんの父・佳人さん(50)が車で送迎し、ハーフパイプがある真駒内スキー場で一緒に練習した。「いつも後ろにくっついて滑っていた」と冬休みは毎日のように朝10時から夜9時まで滑り続け、松本は中学2年で出場した全日本選手権で初優勝を果たした。

 2年前からは夏場だけ、工藤さんが経営する札幌市内の練習施設で受付のアルバイトをして遠征費用を工面。時間が空けばジャンプの練習に明け暮れた。「常にスノボを見ながら、考えながら生活していた。遥奈はトレーニング量が多い。1080(横3回転)をやっている選手は少なかったし、自信を持って臨めたんじゃないかな」と話した。

 先月中旬に札幌のスキー場で再会した。バンクーバー五輪で準決勝敗退に終わった工藤さんは、試合用の新ゴーグルを手渡した。「試合前日に『五輪は楽しい』と連絡が来た。(テレビで)顔を見たら絶対大丈夫だと思いました」。その言葉通り、プレゼントされたゴーグルを着けた松本は結果で応えた。

 「6位は立派。よくやったと思うし、今後も期待したい。僕ができなかったことまでやってほしい」。4年後はまだ28歳の松本。ハーフパイプ女子初のメダルへ、夢が膨らむ戦いだった。(宮崎 亮太)

 ◆工藤 洸平(くどう・こうへい)1990年2月9日、札幌市生まれ。28歳。6歳でスノーボードを始める。10年バンクーバー五輪出場。現在はプロライダーとして活躍し、昨年2月にはアパレルブランド「NOMADIK」を立ち上げた。167センチ、58キロ。家族は両親と姉。

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