羽生、ブランク感じさせない滑りで再び五輪王者に 世界を虜にした「若きレジェンド」

スポーツ報知

◆平昌五輪第9日 ▽フィギュアスケート男子フリー(17日・江陵アイスアリーナ)

 フィギュア男子66年ぶりの連覇がかかるSP首位の羽生結弦(23)=ANA=は22番滑走でフリーに臨み、206・17点をマーク。16日に行われたSPとの合計を317・85点とし、金メダルを獲得した。

 右腕を突き上げ、「よし!」と叫んだ。大歓声が包んだ。平昌のリンクは羽生のためにあるのか。そう言いたくなるほど圧巻の演技で、23歳の王者が五輪史に新たな1ページを書き加えた。SP111・68点で発進して迎えたフリーでは、勝負曲「SEIMEI」に乗って206・17点をマークし、合計は317・85点。ソチに続く金は、待ちに待った今大会の「日本勢1号」だ。この種目では、1948年のサンモリッツ大会、52年のオスロ大会のバトン(米国)以来、66年ぶりのV2となった。

 冒頭の4回転サルコー、続く4回転トウループも鮮やかに決めた。ブランクを一切感じさせない滑りに、場内も手拍子で応えた。心配された後半も、最初は4回転サルコー―3回転トウループのコンビネーションを決めた。だが、その後に予定していた回転トウループの着氷でバランスを崩し、2本目を跳べないシーンも。最後の3回転ルッツでも体勢を崩したが踏ん張った。金メダルが確定すると、大粒の涙が流れた。

 昨年11月に、NHK杯の公式練習中に高難度の4回転ルッツに挑戦して転倒し、右足首を負傷。これが4か月ぶりの復帰戦だった。ようやく年明けに練習を再開したばかり。団体戦を回避し、個人戦に集中。周囲の不安をよそに、王者は王者だった。「僕はオリンピックを知っている。僕は元オリンピックチャンピオンなので」。絶対的な自信を胸に滑りきり、世界を虜にした。

 14年のソチ五輪で金メダル獲得後、絶対的な存在となった。「全体像としては間違いなく、ソチよりも成長した」と自負する。15年12月に2種類の4回転ジャンプを駆使して世界歴代最高の合計330・43点を出し、16年9月には世界初の4回転ループに成功するなど、「挑戦しないと僕らしい演技は絶対できない」との信念を貫いてきた。

 「全ての要素で驚異的な水準にある」とブライアン・オーサー・コーチ。4年前よりもジャンプの種類は引き出しが増え、表現力は磨かれ、総合力が格段に上がった。11年には出身地の宮城県を襲った東日本大震災、14年にはリンクでの衝突事故、腹部手術など逆境を乗り越えての頂点。繊細さと強靱さを兼ね備え、若くしてレジェンドとなった。

 ※スポーツ報知では号外を配布します。

スポーツ

×