宇野昌磨、妥協なき練習で磨いたジャンプ 小さな体でつかんだ銀メダル 

スポーツ報知

 ◆平昌五輪第9日 ▽フィギュアスケート男子フリー(17日・江陵アイスアリーナ)

 日本勢の金メダルが確定した後に臨んだ最終滑走で、初出場の宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=が銀メダルをつかんだ。演技を終えると大きく、うなずき、大歓声を浴びながらやり切った表情を見せた。

 勢い良く挑んだ冒頭の4回転トウループは転倒したが、続く4回転フリップをしっかり着氷。スピン、ステップで情感豊かにと「トゥーランドット」を演じ、勝負をかけた後半演技の5連続ジャンプをまとめきった。トリプルアクセルをこらえきって降りると、4回転―2回転トウループ、4回転トウループを着氷。トリプルアクセル―シングルトウループ―3回転フリップのコンビネーション、ラストの3回転サルコー3回転トウループをきっちり決めた。

 トップスケーターに成長した陰には、子供のころ同じ名古屋市のリンクで練習した元世界女王、浅田真央さんの存在があった。

 5歳の時、浅田さんから「一緒に滑ろう」と初めて声を掛けられた。浅田さんが自らの「代名詞」だったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に何度も挑んでいた姿は、今でも目に焼き付いている。「トップアスリートになるには、あれだけの練習量が必要なんだ」。決して得意ではなかったジャンプを磨き、平昌でも大きな武器とした。

 15年の世界ジュニア選手権で優勝し、昨年はシニアの世界選手権で2位。国際スケート連盟の公認大会で初めて高難度の4回転フリップを決めるなど、世界屈指のジャンパーの仲間入りを果たした。4回転ジャンプは着氷での衝撃が大きく、練習での本数を抑える選手が多いが、宇野は妥協しない。大会中でも多い時には40分間の公式練習で30本以上。樋口美穂子コーチは「彼の半分も跳ばない選手はいる。けがが怖くてハラハラするけど、練習量があるから小さい体でもやっていける」と分析する。

 引退した浅田さんは、前回ソチ五輪で大きな感動を呼び、国民的ヒロインだった。「真央ちゃんのように、僕の演技で人の気持ちを動かせられる選手になりたい」と宇野は言う。その思いは平昌のリンクから、日本へと届いたはずだ。

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