小平奈緒の“最初の指導者”父・安彦さんは競技経験なし、2人で答え探した

スポーツ報知

 スピードスケート女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒。スポーツ報知では上下2回の緊急連載で、スピードスケート女子初の快挙を成し遂げた原点や背景に迫る。第1回は父・安彦さん(62)と二人三脚で育んだ「考える力」と「負けず嫌い」。

 小平は幼い頃から自分で考え、歩むことの大切さを学んできた。スケートを始めたのは3歳の時。父・安彦さんが姉2人と一緒に連れて行った長野・上諏訪のリンクで親戚から譲り受けたスケート靴を渡し、リンク脇の氷の上で遊ばせていた。滑り方は教えていなかったが「そのうちにちゃんと歩いて、1周滑り始めちゃった」と驚かされた。

 最初の指導者となった安彦さんは競技経験がなかった。2人で実業団の選手の映像や試合を見ながら「足の動きはこうしてるね」と会話を交わし、答えを探した。練習内容も自分で考えさせた。「同じことでも人から教えてもらうより、自分で発見した方が身に付く。この時に自分で考えて滑る基本ができた気がします」と振り返る。

 負けず嫌いな性格も印象的だった。「一輪車や縄跳び。負けたくないから一生懸命練習してました」。6年生の時の茅野市のソフトボール投げ大会で3位になった。上位2人に負けたことを悔しがり、投球フォームを研究するなど猛練習。1週間後の県大会で3位に入った。

 学業でもその姿勢は変わらなかった。成績優秀なクラスの男子に「国語と算数では負けたけど、体育と音楽では勝った」と対抗心を燃やした。大学でW杯の遠征中に試験が行われた科目に「不可」をつけられ「試験が受けられないから、その授業は受けないって言ったのに」と憤ったこともある。勝利への執念と探求心を磨いた日々が、金メダルの原点だった。(林 直史)

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