小平奈緒と李相花、出会いは小学生時代

スポーツ報知
メダルを受け取り、壇上で笑顔を見せる小平奈緒(左)と李相花

 小平奈緒にとって、2学年下のライバルの存在も大きかった。今大会は銀メダルだった韓国の李相花だ。「彼女から力をもらって次のステップに進める機会が何度もあった」。出会いは小学生の時、90年代に長野と韓国の間で行われていたジュニアの交流試合まで遡る。06年にW杯に参戦し始めた頃から、友人関係に発展。翌年には李が小平を自宅に招いた。小平も韓国語を勉強し、日本の食品をプレゼントするなど絆を深めた。

 思い出は尽きない。13年に国際大会で転倒を繰り返し、「スケートが怖くなってしまった」。小平が試合後に一人で泣いていた時、優勝した李がそっと寄り添い、一緒に涙を流してくれた。W杯初優勝を果たした14年11月のソウル大会。すぐに留学先のオランダに戻らなければならず、会場から空港へ直行しようと慌てていた時、「タクシーを呼んでくれて、空港までのお金も出してくれて。(地元で2位で)本当は悔しいはずなのに。『奈緒を助けたい』って思いが、すごくうれしかった」と感激させられた。

 競技者としては常に背中を追う相手だった。李は500メートルの世界記録を持ち、10年、14年と五輪2連覇。小平は12位と5位だった。W杯で連勝を重ね、追われる存在となった今季途中には「ずっと上にいた存在なので、今こうして競い合えてるのは幸せなこと」と、しみじみと話していた。

 18日のレース後、小平はリンクで涙を流す李を「チャレッソ(韓国語でよくやったね)。リスペクトしているよ」と抱きしめた。けがや地元開催で3連覇を期待される重圧と必死に闘ってきた姿を知っていた。2人並んだメダリスト会見。李はこう語った。「幼い頃から一緒にやってきて良い経験ができた。良いライバルがいたから私もここにいることができた」。小平も思いは同じだったはずだ。(林 直史)

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