複合エース渡部暁斗、五輪直前に肋骨骨折していた…団体24年ぶりメダル逃し4位

スポーツ報知
4位でゴールした渡部暁は、金メダルを獲得して喜ぶドイツチームの前を引き揚げる(カメラ・相川 和寛)

 今大会個人ノーマルヒル銀メダルの渡部暁斗(29)=北野建設=が、大会前の今月2日に左肋骨(ろっこつ)を骨折していたことが22日、明らかになった。

 この日行われた団体ラージヒル決勝にも、永井秀昭(34)=岐阜日野自動車=、山元豪(23)=ダイチ=、渡部善斗(26)=北野建設=とともに出場し4位。前半飛躍(HS142メートル)で3位につけたが、後半距離(20キロ)で順位を落とし、同種目で94年リレハンメル大会金メダル以来、24年ぶりの表彰台は逃した。だが、けがを敗戦の理由にすることはなかった。

 4度目の五輪は、けがを隠したまま臨んでいた。全日本スキー連盟はこの日、渡部暁が今月2日のW杯白馬大会の飛躍練習で転倒した際、左肋骨を骨折していたことを明らかにした。本人は「(痛みは)気にならないくらい」としており、五輪中も明らかにしていなかった。

 銀メダルを獲得した個人ノーマルヒル(14日)では、フレンツェル(ドイツ)と後半距離(10キロ)の最終盤まで金メダルを争うレースを展開。5位に終わった個人ラージヒル(20日)も、前半飛躍(HS142メートル)は首位。負傷をおくびにも出さず「4年に1度しかとれないもの(五輪金メダル)もある」と今大会に向き合った。「2位は見飽きた」「メダルじゃなくて、金メダルを目指す」とこれまでの発言を繰り返してきた。

 この日行われた団体も3位と約1分差で引き継ぐと、4位を守って5キロを走り切った。「しょうがないです。僕らの現状のレベルと思って受け止めるしかない」。飛躍でリードし、距離で逃げ切る“勝利の方程式”だけでは勝ちきれない現実。「山頂を目前にして、一度下山して装備を整えてもう一回登ろうか、という感じですかね」と無念そうにつぶやいた。

 結局、最後まで自らけがを明かすことはなかった。結果は前回ソチ大会と同じ銀メダル1つ。体調を理由にすることもなく「過去は変えられないから、未来が変わるように最善の選択をして、今まで以上になれるようにしないといけない」と語った。

 今後は、24日に帰国する予定。現時点では、ラハティ大会(3月3~4日、フィンランド)から再開となるW杯転戦については「懸命に戦うしかない」と前を向いていた。

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