【七色コラム】上田桃子「切り替えて先に向かう葛西選手の強さ」
金メダルを獲得した小平選手と羽生選手には、大きな感動をもらいました。小平選手の人間性は、一人の女性として尊敬しています。羽生選手は“プロ”ですね。求められているものが分かっている上で、それに応えて結果を出すんですから。ただ、オリンピックは金メダルと同じぐらい、出たことへの素晴らしさを感じています。葛西選手はテレビで応援していました。メダルには届かなかったけど、すぐ「次の北京も目指す」と話す姿に強さを感じました。
冬季競技の選手とはあまり交流がないんですが、唯一知っているのが葛西選手。昨年11月の伊藤園レディスのプロアマ戦で一緒に回りました。ドライバーは私より飛ぶし、小技も全部うまい。そしてチョー面白い人。レジェンドなのにとっても気さくで、団体金メダルメンバーから外れた98年の長野五輪を振り返って「自分がレギュラーになれなくて地獄を味わったからこそ、今でも頑張れる」と話してくれました。
私は20年東京五輪に向けた日本ゴルフ協会の強化指定選手になっているので、この前も研修会でナショナルトレーニングセンターに行きました。開催コースの霞ケ関CCは日本ジュニアでプレーしたこともあるし、狭くて難しいから日本人にも金メダルのチャンスがある。07年に諸見里しのぶ選手とコンビを組んで出場した国・地域別対抗戦のW杯では結果を出せなかったけど(14位)、国を代表することの重みを感じました。
平昌五輪では、選手の楽しんでいる姿が本当に輝いて見えました。結果が出なかった時にくじけてしまうこともあるけど、葛西選手のようなトップアスリートは強い気持ちで肯定して、その先に向かうことができる。来週からは女子ツアーが開幕します。チャレンジする気持ちで頑張って、その結果が東京五輪につながれば最高だと思います。(プロゴルファー。07年賞金女王)
◆上田 桃子(うえだ・ももこ)1986年6月15日、熊本市生まれ。31歳。9歳からゴルフを始め、2005年のプロテストに一発合格。07年は5勝を挙げ、21歳で最年少賞金女王に輝いた。同年のミズノクラシック優勝で得た出場権で08年から米ツアーに本格参戦。14年から主戦場を日本に戻した。日本ツアー通算12勝、米ツアー通算1勝。161センチ。家族は両親と姉、弟。