平昌五輪ではK―POPスターが大活躍 東京五輪はジャパニメーション?

スポーツ報知
会見で閉会式に向けての意気込みを語ったEXOのメンバー

 平昌五輪は25日、閉会式が行われ、海外でも人気の男性グループ・EXO(エクソ)らトップクラスのK―POPスターが出演して17日間の大会を華やかに彩った。韓国内ではフィギュアスケート女子のバンクーバー五輪金メダリスト・金妍兒(キム・ヨナ)さん(27)に匹敵する花形アスリートが不在と言われる中で、戦略的にフル活用されたのはK―POPだった。2020年東京五輪につながるヒントを考えてみた。

 閉会式チケットの売れ行きは、大会前から懸念されていた。6割程度だった販売率が急速に上がったのは、EXOの出演が正式に発表されて以降。8人のメンバーたちも、五輪での公演を光栄に思ったようで、リーダーのスホ(26)は会見で「五輪の舞台に立てることが信じられない。終わったら涙が出るかもしれません」と話していた。入場券の販売は24日現在で2万2536枚中1万9290枚の85・6%にまで伸びた。

 平昌五輪組織委は、大会前からK―POPの影響力をフル活用していた。聖火リレーでは女性グループ・AOAなどのアイドルを走者に起用。開会式では昨年のNHK紅白歌合戦にも出演したTWICEの「LIKEY」などのヒット曲を流した。

 試合会場でも演出に使われたのはK―POPだ。スピードスケート競技会場などでも試合の合間にPSYの「江南スタイル」が流れたりした。曲に合わせて踊る観衆もいたりして、受けは良かった。

 この狙いを組織委に質問すると「競技種目の特性などを考慮した上で象徴的な音楽を選んでいる。また、選手たちから推薦(リクエスト)があった選曲を反映させてもいます」とのこと。音楽演出を統括したのは韓国のプロデューサー、ドン・スパイク氏(41)。ドン氏の統括下にある各競技場のDJが、競技進行に合わせて臨機応変に選曲をした。

 競技場外でも、地元自治体・江原道が主宰した五輪関連事業「文化五輪」の目玉として行われたのが「K―POPワールドフェスタ」だった。旧正月中の17日夜に開催され、会場の総合運動場には、氷点下3度だが約1万人が集まった。

 組織委関係者は「五輪の興奮を伝えるコンテンツとして、K―POPは効果的だった」と振り返る。東京五輪で日本もJ―POPを活用する手はあるかもしれない。世界で愛されているアニメや漫画などの「ジャパニメーション」にも強い発信力があるだろう。聖火リレー、開閉会式、試合会場など随所で、日本ならではのエンターテインメントが生かされるなら想像するだけでワクワクしてくる。(甲斐 毅彦)

 ◆「経験、東京で生かしたい」

 平昌五輪に関わった韓国の人の中には「今回の経験を東京五輪でも生かしたい」と望んでいる人が少なからずいた。江陵市に五輪PR施設として作られた広報体験館のマネジャー、成多炯(ソン・ダヒョン)さん(28)もその一人だ。ソウル五輪の翌年の1989年生まれ。「私の人生では最初の自国開催の五輪。何としても関わる仕事がしたい」と志望して2年前、ソウルから江陵に赴任して広報活動を続けてきた。

 広報体験館では3D映像に合わせて椅子が稼働してスキージャンプの疑似体験ができるアトラクションが人気。開設以来30万人以上の人が来た。「いろんな国の方との交流が何より楽しく、やりがいがあった。パラリンピックがあるので、まだ終わっていませんが、東京五輪でできることをこれから考えていきたい」。大学時代に学んだという日本語力は完璧だった。

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