高木美帆の世界選手権総合Vはこれまでの積み重ねが実を結んだ勝利
スポーツ報知
◆スピードスケート 世界選手権第2日(10日、オランダ・アムステルダム)
女子で平昌五輪団体追い抜き金、1500メートル銀、1000メートル銅メダルの高木美帆(23)=日体大助手=が、男女を通じ日本選手として初の総合優勝を果たした。後半の2種目は過去6度優勝で2位だったイレイン・ブスト(オランダ)と同走し、1500メートルは1分58秒82の1位。最終5000メートルも7分29秒93でトップと3秒08差の4位と踏ん張り、166・905点で初日からの首位を守り抜いた。男子は1800年代から行われている伝統の大会で、欧米勢以外の総合優勝は初の快挙だった。菊池彩花(富士急)は総合7位。
世界選手権は女子が500、1500、3000、5000メートルの4距離の総合成績で争う。勝ち抜くにはスプリント力から持久力まであらゆる要素が求められる。本場の欧州では五輪に匹敵する権威があり、勝者は「キング(クイーン)・オブ・スケート」と尊敬を集めるほど。伝統的に中長距離で欧米勢に苦戦を強いられてきた日本勢で表彰台に立ったのは、高木美を含め男女で5人しかいない。
高木美は高校時代に500メートルから5000メートルまであらゆるカテゴリーの大会に出場。年間約60レースを滑るなど常にオールラウンダーを意識した取り組みを行ってきた。国際大会では異例の屋外開催で雨や風の影響を受ける特殊な環境も、10代前半まで屋外だった地元の帯広のリンクで経験済みだ。平昌五輪へ全身全霊をささげた4年間の努力と合わせ、これまでの積み重ねが実を結んだ勝利といえそうだ。(スピードスケート担当・林 直史)