高梨沙羅、W杯男女歴代単独最多54勝「本当に幸せな気分」

スポーツ報知
高梨沙羅

 ジャンプ女子はドイツのオーベルストドルフで個人第14戦(ヒルサイズ=HS106メートル、K点95メートル)を行い、平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(21)=クラレ=が100・5メートル、96・5メートルの合計227・1点で今季初優勝。グレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)をかわして、W杯男女歴代単独最多となる通算54勝目を手にした。個人戦Vは2017年2月の平昌大会以来、13か月ぶり。シーズン最終盤で、節目の1勝にたどり着いた。25日は今季最終戦となる個人第15戦が同会場で行われる。

 忘れかけていた味だった。「本当に驚いている」。昨季の最終戦から14戦足踏みを続けていた沙羅が、ようやく前人未到の通算54勝を達成した。1回目に100・5メートルで首位に立ち、2回目も96・5メートルと粘ってイラシュコ(オーストリア)の猛追を3点差、飛距離にして1・5メートル差で振り切った。「本当に幸せな気分。今シーズン中に54勝をとれるとは思っていなかった。長かった」。平昌五輪金で、既に今季個人総合Vを決めているルンビ(ノルウェー)を3位に従えた表彰台で、金字塔の達成感をかみしめた。

 12年3月に蔵王大会でW杯初勝利。7シーズンで通算104戦54勝、5割超の高勝率で白星を重ねてきた。牧野講平トレーナー(38)は、「ソチ以降は本当に『大人のアスリート』になった。言われたことを実行するだけでなく、自立して意見も言う。休む時は休むメリハリもついた。(以前とは)まるで別人を指導しているみたい」と評する。根底には謙虚な向上心と純粋な興味。ノルディック複合でW杯3連覇の荻原健司氏(48)は、「前向きな気持ちを無理して維持するのではなく(自然と)持ち続けられるのは、本人の素質や性格」と述べた。

 ルンビと平昌銀のアルトハウス(ドイツ)の“2強”へ、最終盤で一矢報いた。銅メダルの平昌と同じように伊藤有希らチームメートに祝福され、「五輪の時のような感動をまた感じることができて、チームの温かさが身に染みた」と感謝した。25日には今季ラストの個人第15戦。理想の一本と向き合う沙羅の歩みは続く。

 ◆高梨 沙羅(たかなし・さら)1996年10月8日、北海道・上川町生まれ。21歳。小学2年で競技を始め、2011年2月に14歳でコンチネンタル杯を史上最年少優勝。13年世界選手権混合団体金メダル。14年ソチ五輪は個人NH4位。上川中からグレースマウンテンインターナショナルを経て、14年に飛び級で日体大体育学部に進学。今年2月の平昌五輪で日本ジャンプ女子初の銅メダルを獲得した。152センチ、44キロ。家族は両親と兄。

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