“生ける教材”レジェンド葛西の生き様、中学3年の道徳教科書に

スポーツ報知
ギネス世界記録の表彰を受ける葛西(左から小林陵、伊藤有)

 スキージャンプ男子の葛西紀明(45)、小林陵侑(21)、伊藤将充(20)、同女子の伊藤有希(23)が12日、札幌市内のホテルで、所属する土屋ホームの慰労パーティーに出席した。2014年のソチ五輪で銀メダルを獲得するなど日本をリードしてきた葛西は、19年度の道徳の教科書(中学3年)に登場。この日、改めて22年北京五輪で金メダルを目指すと宣言した45歳の“生ける教材”が、有言実行で真のレジェンドを目指す。

 拍手を一身に浴び、笑みがこぼれた。葛西は、集まった約200人を前に切り出した。「昨季は調子が悪かったが、課題のアプローチ(助走)を直せば、トップに返り咲ける。夢を追い求め、世界一を目指したい」。2月の平昌五輪は個人ノーマルヒルで21位に終わったが、改めて4年後の22年北京五輪で頂点を狙う意欲と覚悟を示した。

 レジェンドの生き様が教材になる。光村図書出版(本社・東京)が19年度から使用する中学3年生向けの道徳の教科書では、葛西が取り上げられている。同教科の学習指導要領には「希望と勇気、克己と強い意志」という項目があり、親族の死や所属先の廃部などの困難を乗り越え、45歳の今もなお、現役として世界の頂点を目指す姿を紹介している。

 葛西の言葉を引用し、写真付きの競技年表などを織り交ぜており、同社の担当者は「高い目標を設定し、現在も活躍している。生徒も志を持ち、最上級生の自覚を持って行動することを考えてほしかった」と起用の経緯を説明。昨季までに冬季五輪8回、W杯543試合と、ともに歴代世界最多出場のギネス世界記録を更新したレジェンドに白羽の矢が立った。

 49歳で迎える北京五輪を目指す葛西は「これ以上、有名になってどうしよう」と冗談交じりに笑いながらも「うれしいこと。パワーになるし、頑張りがいがある。4年あるので進化したい」と口元を引き締めた。飽くなき向上心を秘めた“生ける教材”は、どこまでも貪欲だ。(宮崎 亮太)

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