羽生結弦、仙台凱旋1・1キロ40分パレード…10万8000人が「ありがとう」

スポーツ報知
歓声に応える羽生結弦

 フィギュアスケート男子で66年ぶりの五輪連覇を達成した羽生結弦(23)=ANA=のパレードが22日、出身地の仙台市で行われた。1・1キロの沿道には14年のソチ五輪から1万6000人増の10万8000人が集結。「おかえり」「ありがとう」の声援に笑顔で手を振り続けた。ソチ五輪に続き、金メダルの報奨金全額を宮城県と仙台市に寄付。東日本大震災からの復興を祈った。

 羽生が姿を現すと、この日の最高気温29・9度の仙台の熱気が一段とヒートアップした。「キャ~」「ゆづ~」の声援に包まれたパレードの出発式。「仙台に『ただいま』って言える状況になって、本当にうれしい。この喜びとか、今見える風景をずっと胸に刻んでこれからも生きていきたい」。喜びをかみしめた胸元の金メダルが、強い日差しに反射した。

 左右に視線と笑顔を送りながら、羽生は会話を楽しむように1・1キロを40分かけてゆっくりと進んだ。「おめでとう」を伝えるために、14年ソチ五輪時の9万2000人を上回る10万8000人が沿道に駆けつけた。スタート付近では130人を超える徹夜組が出た。羽生の衣装のコスプレをする男性、くまのプーさんのぬいぐるみを持つ女性。海外からもファンが駆けつけ、パレード出発前には「ものを投げ込まないでください」のアナウンスが日本語、中国語、英語で行われた。

 車上でフリー「SEIMEI」の決めポーズを取った。「近くの人には『ありがとう』の声とか、自分の目線も届くけど、遠くの方にも届いてほしいなという思いだった」。ファンを大切にする羽生らしい演出だった。「ソチの時はもっと未来に目が向いていて、この金メダルから次の金メダルへ、また走っていくんだという気持ちだった。今回は、みなさんの応援を受け止め切れて、みなさんの応援が詰まった金メダルをかけていると実感している」。感謝の気持ちを持って、手を振り続けた。

 金メダルの報奨金はソチ五輪に続き全額、宮城県と仙台市に寄付。4年前は日本オリンピック委員会(JOC)300万円と日本スケート連盟300万円の計600万円で、今回は増額された報奨金500万円ずつ計1000万円。東日本大震災からの復興にあててほしいとの思いからだった。「ぜひ、役立ててください」と、村井嘉浩知事、郡和子市長に手渡した。「復興という課題がある中、大きなパレードを開いてくださった。僕自身重く受け止めている。復興のきっかけになるよう心がけたい」と口にした。(高木 恵)

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