「酒鬼薔薇聖斗」元少年A手記、5万部増刷へ

2015年6月18日5時0分  スポーツ報知
  • 増刷が決まった手記「絶歌」

 神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件の加害男性(32)による手記「絶歌」(1620円)の重版が決まったことが17日、分かった。5万部が増刷される。殺害された児童の遺族は、出版社に回収を申し入れていたが、出版元の太田出版(東京)の岡聡社長は、この日、自社のホームページ上に、「本書の内容が、少年犯罪発生の背景を理解することに役立つと確信している」と、今後も販売を継続することを表明した。

 事件当時の犯行声明で「酒鬼薔薇聖斗」を名乗った加害男性が「元少年A」として記し、出版への賛否を含め大きな反響を呼んでいる手記の増刷が決まった。

 この日、発表された出版取り次ぎ大手・日販のベストセラーランキングで同書は総合トップ。情報会社オリコンの週間ランキングでも総合部門1位となった。オリコンの集計では推定売り上げ部数は約6万7000部。品切れの書店やオンラインサイトも続出しており、初版10万部に続いて5万部が増刷され、25日から順次配本される。

 最近の事件では、2007年の英会話講師殺人事件で、市橋達也受刑者が1審公判中の11年に発表した手記「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録」が、初版3万部、最初の増刷が2万部だった。今回の手記はそれに比べても、大きな発行部数ということになる。一方で、事前了解がなかったとされる遺族の心情に配慮し、販売しない書店も増えている。注文した客だけに販売する方法に切り替えた書店もある。

 太田出版には11日の発売以降、「本を回収すべき」「なぜ、出版したんだ」などの意見や苦情が連日、届いているという。そのため社内で「会社としての考え方を示すべきでは」との声が上がった。

 同社は、ホームページの表明文で、「事件の根底には社会が抱える共通する問題点が潜んでいるはず」とし、「加害者の考えをさらけ出すことには深刻な少年犯罪を考える上で大きな社会的意味があると考え、最終的に出版に踏み切りました」と説明した。

 被害者の土師淳君(当時11歳)の父・守さんは、同社に対して「絶歌」の回収を求める申し立てを行った。同社は、それに対しての返答は、既に送っているという。その上で「出版の可否を自らの判断以外に委ねるということはむしろ出版者としての責任回避、責任転嫁につながります。私たちは、出版を継続し、本書の内容が多くの方に読まれることにより、少年犯罪発生の背景を理解することに役立つと確信しております」と、回収する意向はないことを示した。

  • 楽天SocialNewsに投稿!
社会
報知ブログ(最新更新分)一覧へ
今日のスポーツ報知(東京版)