「箱根ホテル小涌園」キャンセル5000人の苦境も発想の転換で正月満室 

2015年12月31日6時0分  スポーツ報知

 箱根山、浅間山、口永良部島(くちのえらぶじま)、桜島など、今年の日本列島は噴火に揺れた一年でもあった。5月に箱根山(神奈川県箱根町)の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)となってから約8か月、人気の温泉テーマパーク「小涌園ユネッサン」に隣接する箱根ホテル小涌園では、正月の全224部屋の予約は埋まっているという。しかし、この8か月間の苦難は、開業56年で未曽有のものだった。

 5月6日に噴火警戒レベルが2になると翌日から宿泊キャンセルが相次ぎ、2か月間で5000人以上に上った。6、7月の宿泊客は前年比4割減。箱根小涌園の総支配人・山下信典氏(52)は「いわゆる天変地異ですから、我々のリスクで一番考えにくいものだった」と振り返る。

 国内の団体客、ツアー客が一気に消えた。メインターゲットの家族連れも減少していった。「このままでは大変なことになる」。そこで山下氏が目をつけたのが「外国人観光客」だった。日本の外国人旅行者専門の旅行会社に対して、約50か所に重点セールスかけた。一方で、外国人専用の旅行サイトに対して情報を積極的に出した。

 「外国人の方は、リスクマネジメントがしっかりできているので、大涌谷の危険なエリアをしっかり把握している。だから逆に倍増した」。同ホテルの宿泊人数は、例年約15万人。外国人客はそれまで10%に満たなかったが、今年は約2万6000人に増えた。

 レベル4に上がった場合、ユネッサンの一部が規制区域に入る可能性があったため、7月から独自で避難訓練を繰り返した。予断を許さぬ状況下で、全従業員約300人に緊張感がみなぎっていたという。

 箱根最大級の危機を、発想の転換で乗り切った。「昨年御嶽山の噴火があり、消費者は非常に敏感になっている。ただし、我々は温泉で生きているわけですから、そこに火山はある」と山下氏は気を引き締めていた。

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