【女流名人戦】里見女流名人、V7に王手!

2016年1月31日21時5分  スポーツ報知

 ◆報知新聞社主催 第42期岡田美術館杯女流名人戦5番勝負第3局(31日、千葉・野田市、関根名人記念館)

 千葉県野田市の関根名人記念館で31日、第3局が行われ、先手の里見香奈女流名人(23)=女流王位、女流王将、倉敷藤花=が111手で挑戦者の清水市代女流六段(47)に勝ち、対戦成績を2勝1敗として7連覇に王手をかけた。女流名人戦5番勝負での自身最長となる1時間14分の大長考もあった熱戦を制し、大きな1勝を手にした。第4局は2月14日、岡山県真庭市の湯原国際観光ホテル菊之湯で行われる。

 終局直後、大盤解説会場に移動してマイクを握った里見は真っ赤な笑顔を見せた。「予定外の戦型になり、考えることの多い将棋でした」。ただ、表情は苦しみではなく、考え抜き、そして勝った充足感に包まれていた。

 “伝家の宝刀”を再び抜いた。第1局を含め、直近の先手番での対清水戦は中飛車を採用して2連敗中だったが、再び中飛車を選択。ところが、清水の斬新な対応策「△6四金戦法」に手を焼いた。「急戦でも、金上がりは考えていなかった。指したことがなかったので難しかった。考えながら指しました」

 突かれた意表は考慮時間に表れる。32手目に△6四歩と指された後、持ち時間の半分に迫る1時間14分の大長考。女流名人戦5番勝負における自己最長だった51分(2011年度・第1局)を超える長考の末に▲5八飛。「いろいろ迷って指したんですけど、(43手目の)▲7七桂と跳ねて駒を全て活用できたので、まずまずだったと…」。長考は全軍躍動の成果を上げ、形勢を引き寄せた。最後は自玉が裸同然になる危険な終盤戦となったが、▲5七玉と脱走に成功。勝利をさらった。

 女流名人位を清水から奪取した2009年度から7年連続で指している関根名人記念館。「近代将棋の父」関根金次郎十三世名人の業績を顕彰する場所で、女流名人が再び輝いた。

 名人―。将棋界に生きる者にとって特別な2文字。里見は、引退後に十九世名人を名乗る羽生善治四冠(45)=名人、王位、王座、棋聖=に、常に尊敬の念を抱いている。

 昨年末、羽生との「王位対女流王位」の記念対局に臨んだ。「あと一歩だったんです」。序中盤はリードを奪いながら逆転負け。ただ、残念さよりも感想戦終了後に羽生から体調を気遣う言葉を掛けられたことが何よりうれしかった。「私は目の前の感情に流されますけど、羽生先生はいつも平常心でいらっしゃる。自分もあんなふうになれたら、と思うんですけど、たぶんムリです」

 次局は、昨年樹立した記録を更新するV7への一局。「真庭市には地元(出雲市)の方も応援に来て下さいます。自分は力を出し切ることだけ考えて、一生懸命に将棋を指したい」。ただ純粋に将棋を見つめる女流名人の視線は、どこか羽生名人にも通じる。(北野 新太)

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