性病とニセ診断で薬代だまし取っていた医師逮捕 容疑否認

2017年1月18日6時0分  スポーツ報知

 60代の男性会社役員に性感染症と虚偽の診断をし、薬代名目で現金をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は17日、詐欺容疑で「新宿セントラルクリニック」(東京都新宿区)の院長・林道也容疑者(69)を逮捕した。林容疑者は感染を見極めるための検査数値の基準値を極端に低く設定。本来ならば陰性の患者も陽性と診断していた。林容疑者は容疑を否認している。

 「性病にかかっているかもしれない」という、家族や周囲に相談しにくい患者の気持ちを逆手に取って、必要のない薬代をだまし取っていた医師が逮捕された。

 逮捕容疑は2012年9~12月、受診に訪れた東京都国分寺市の会社役員に血液検査をした際、クラミジア感染症ではないのに「陽性だった」と虚偽の診断をし、処方した薬代を十数回にわたり計約2万6000円詐取した疑い。林容疑者は「それは間違っています。後で説明します」と容疑を否認している。

 通常、クラミジアに感染しているかどうかは「IgA抗体」「IgG抗体」の数値で判断する。厚生労働省が感染の判定基準としている検査結果の数値は「0・90」で、これ未満であれば陰性とされる。だが、林容疑者はこれを「0・00」と改変。この基準だと、検査を受けたほぼ全員が陽性と判断されるという。

 捜査関係者によると、血液検査の解析を委託した会社の検査結果用紙は通常「0・90」の基準値と患者の数値を並列して記載する。だが、林容疑者は基準値を「0・00」と書き換えた独自の結果用紙を診察した人に渡し「陽性」と伝えていた。会社役員は治療を続けたが改善しなかったため、別の病院を受診。すると陰性と診断されたため、14年4月に詐欺および傷害罪で警視庁四谷署に刑事告訴していた。

 会社役員を含めた複数の男性患者は、林容疑者に損害賠償を求めて提訴。うち2人には、林容疑者に賠償を命じる勝訴判決が最高裁で確定した。裁判には林容疑者も出廷し「自分の判定基準の方が正しい。今まで、数千人の患者に対して、同じ方法で検査をしてきた」と証言。裁判中もクリニックは通常営業をしており、必要のない薬を処方された男性は多数に及ぶ可能性がある。

 患者の一人は「だまし取った金でいい生活をしていると思うと、許せない」と憤怒。別の患者は「医師の言うことに間違いはないと思った。だまされて投薬された人は多いはず。きちんと反省してほしい」と訴えた。

 ◆クラミジア クラミジア・トラコマチスという病原菌が原因の性感染症。男性は尿道炎や前立腺炎、女性は子宮頸(けい)管炎、子宮内膜炎などを発症する。不妊症や子宮外妊娠の原因にもなる。日本で最も感染者が多い性感染症で、特に10~20代の女性に感染者が多いのが特徴。性行為などで感染し、感染しても症状を感じにくい。治療は抗生剤の投薬によって行われる。

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