元巨人・富田勝さんの遺灰が宇宙葬で飛び立つ…墓に入るより星になりたい

2017年3月18日6時0分  スポーツ報知
  • 宇宙散骨プラン

 故人の遺灰を収めたカプセルをロケットに載せて宇宙空間に打ち上げる「宇宙葬」が近年、注目されている。米国の企業と提携して宇宙葬を企画している銀河ステージ社(大阪市)では2014年と15年に1回ずつ、合計5人の宇宙葬を行った。今年も6月に予定され、9人の遺灰を打ち上げる予定だ。このほか海に遺灰をまく海洋散骨や木の根元に遺骨を納める樹木葬も増えており、供養はさまざまな形になってきている。

(高田 典孝)

 最近、人気を集めているのが、海洋散骨だ。佐野さんは「死後は自然にかえりたい、海で眠りたいという人が多く、ここ数年で非常に増えた」と言う。銀河ステージの代理委託プランは税込み5万4000円~。条例で散骨の海域制限を行っている静岡県熱海市や伊東市などはあるものの、関東では東京湾や相模湾など、故人または遺族が希望する海域で散骨することができる。このプランでは遺族は船には乗れないが、散骨の様子はフォトアルバムと散骨証明書で報告される。

 樹木葬も海洋散骨と同じような理由で人気だ。樹木葬の場合、墓地や霊園内の指定された木の根元に骨つぼにいれた遺骨を埋める。遺骨を埋葬するたびに新しい苗木を1本植えるケースや、墓地の中央にシンボルとなる樹木を植え、その周辺に遺骨を共同で埋葬するケースなどがある。骨つぼも陶器製やステンレス製のほか、土の中で分解されるバイオ骨つぼを利用する人も多い。

 散骨にあたり、公的な機関への許可や書類の申請などは必要ないが、遺骨を海や山に勝手にまいてはいけない。墓地・埋葬等に関する法律に触れたり、刑法190条の遺体損壊罪、死体遺棄罪に該当する可能性がある。ただ時代の変化とともに国の見解も変わってきた。法務省では非公式ながら、散骨が節度をもって行われる限りは、法律違反にはあたらないという見解を出している。「節度」の具体的な事例は示されていないが、欧米の例にならい、遺骨を粉末状にすること、といわれている。

 宇宙葬が米国で初めて行われたのは1997年といわれている。テレビドラマ「スター・トレック」のプロデューサー、ジーン・ロッデンベリー氏を始め、24人分の遺灰が宇宙空間に打ち上げられた。日本人では銀河ステージ社により、2014年に2人、15年に3人の遺灰が宇宙へと旅立った。今年6月にも9遺灰が打ち上げられる予定だ。

 同社の宇宙飛行プラン(税込み48万6000円~)は、遺灰(1~7グラム)を専用カプセルに入れてロケットに積み込み、米ニューメキシコ州にある商業宇宙船発着基地「スペースポート・アメリカ」から打ち上げる。ロケットは宇宙空間を5~10分飛行した後、大気圏に再突入し“流れ星”となり燃え尽きる。セレモニーから打ち上げの動画、打ち上げ証明書などがもらえ、希望すれば現地での打ち上げ見学ツアーへの参加もできる。

 同社には、人工衛星で最長240年地球を周回するプラン(税込み102万6000円~)もある。スマートフォンやタブレット向けのアプリをダウンロードすれば、遺灰を載せた衛星の現在位置を確認できる。このプランは今年夏に実施が予定されており、南海や巨人でプレーした元プロ野球選手の富田勝さん(15年他界)の遺灰が飛び立つ。

 宇宙葬が日本で注目される背景には、土地不足で霊園の新たな造成が難しいことや、急激な高齢化で「多死社会」を迎えたことがある。同社のメモリアルプランナー・佐野高志さんは「墓に入りたくない、買いたくないという人が散骨を選ぶことが多い。葬儀より供養にお金をかける人が増えている」と話す。

 宇宙飛行プランを生前予約をした大阪府の男性(34)は「墓が水没したり、倒れたりしたのを見て、墓に入ることに疑問を持った。子孫に手間をかけさせないという理由から宇宙葬が一番だと思った」と言う。また、60歳の男性は「SFが好きで子供の頃からいつか宇宙を飛び回りたいと思っていた。海洋散骨にも興味があったが、スケールを比べて宇宙を選んだ」と話す。

 一般的なお墓を作るのに、墓石や永代供養料など総額200万円程度かかるとされることを考えれば、実は宇宙葬は、とても割安なのかもしれない。日本でもロケット開発が進む。近い将来、国内でロケットを打ち上げ、宇宙葬が当たり前になる時代がくるかもしれない。

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