小池都知事、東京五輪「都外仮設設備費」500億円全額負担

2017年5月12日5時0分  スポーツ報知

 東京都の小池百合子知事(64)が11日、安倍晋三首相(62)と会談し、2020年東京五輪・パラリンピックについて、都外会場の仮設設備費約500億円を都が全額負担することを表明した。開催地の負担に猛反発していた千葉県の森田健作知事(67)ら3知事が9日に安倍首相に直談判し、張り巡らされた「小池包囲網」に屈した形。都幹部からは「完全にはめられた」と恨み節がもれた。

 小池氏は、この日は普段はめったに見ることのない上下真っ白なスーツに身を包み、首相官邸で安倍首相と会談。会談後は微妙な笑みを漏らしながら安倍氏と“白旗合意”の握手を交わした。小池氏は「仮設整備費は他地域の費用も負担する」と明言。全額負担するのかと問われ「大枠はその流れ」と述べた。

 都外競技場の仮設設備費をどうするのか? 3月末に結論を出すといいながら決断しない小池氏に対し、千葉県・森田健作知事、神奈川県・黒岩祐治知事(62)、埼玉県・上田清司知事(68)が動いた。9日夜の首相官邸。3人が菅義偉官房長官(68)に打ち明けた。菅氏は「総理もお目にかかりたいと話している」と即座に首相に取り次いだ。

 3知事と面会した安倍首相は「都の案を待つことなく直ちに調整するように」と同席した丸川珠代五輪相にその場で指示。黒岩氏は菅氏との面会を申し込んだだけで首相との予定は入っていなかったという。この動きを小池氏は知らず、完全に蚊帳の外に置かれていた。

 都議選を前に、築地市場の豊洲移転問題という難題を抱える小池氏。政府関係者は「費用負担の問題は『決められない小池都政』のイメージを払拭する大事なツールだった」とみる。既定路線となった全額負担をどのタイミングで表明するか。情勢を探る小池氏の姿は、周辺自治体の首長の目には「選挙に向けた引き延ばし」と映った。

 「今日の会談はとっくに決まっていたのに私が駆け込んだようなイメージ操作をされて。違うのになあ」。この日、小池氏は悔しそうに語った。都関係者によると、首相との会談は大型連休前から予定されていた。この日、小池氏が自ら判断し全額負担を表明するはずが、9日に直談判がはさまれたため、小池氏が屈した形になった。

 7月の都議選は小池氏が率いる「都民ファーストの会」と自民党都連が全面対決する構図。小池氏の手柄になる事態を避けたかった政権にとって、3知事の要望を受けた官邸が調整役を果たして決着、は思惑通りだったといえる。都幹部は「都議選への思惑も絡み、官邸側に完全にはめられた」とつぶやいた。

 「問題は今日、解決の方向に進んだ」。小池氏が首相に全額負担を表明した直後、菅氏は“節目感”を強調した。丸川氏も「やっと決断していただいた」と勝ち誇った表情。政府関係者は「小池氏の完敗だな」とつぶやいた。

 ◆費用負担を巡る経過

 ▼2013年1月7日 招致委員会が立候補ファイルをIOCに提出。「仮設施設の整備費は大会組織委員会が担う」との枠組み

 ▼15・7・22 組織委の森喜朗会長が「(大会経費が)2兆円を超すかもしれない」

 ▼16・3・24 森会長が招致時の枠組みを見直す考えを表明

 ▼9・29 都の調査チームが「都有地の仮設は都が原則負担、都外の仮設は国が半分補助し開催地も一部負担する」との案を小池百合子知事に提言

 ▼12・26 10自治体が、仮設の整備費は組織委が負担するとした招致時の原則を確認するよう求める要請書を都と組織委に提出

 ▼17・5・9 神奈川、千葉、埼玉の3県知事が首相官邸を訪れ、安倍晋三首相に早期決着を要請

 ▼5・11 小池知事が都外も含め、仮設整備費は原則として都が全額負担すると表明

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