「万葉倶楽部」が豊洲撤退も

2017年7月12日6時50分  スポーツ報知
  • 「万葉倶楽部」が豊洲市場の隣に建設を計画している「千客万来施設」の完成イメージ図
  • 千客万来施設予定地

 豊洲市場(東京・江東区)に開業予定だった温泉や飲食店などの観光拠点「千客万来施設」を運営する万葉倶楽部(神奈川県小田原市)は11日、「都の方針が変わり、事業の継続性が見通せない」として事業から撤退する意向があることを明らかにした。東京都の小池百合子知事(64)が先月、築地市場の再開発を表明したため採算が取れなくなる可能性を示唆した。都は「事業を推進できるよう誠意を持って対応する」とのコメントを出した。

 「食を起点に日本の文化を発信する」として計画している千客万来施設は、豊洲市場の水産仲卸売場棟がある敷地に、地下2階、地上3階の建物を建設し、24時間営業の温泉や飲食店などを整備する。年間約190万人を集客するとしていた。

 一方、小池知事は6月20日の会見で「食のテーマパークとして築地市場を再開発する」と表明した。築地は2020年東京五輪・パラリンピックでは駐車場などとして活用し、五輪後は市場機能の一部を戻して観光施設を設置。豊洲は物流拠点として活用する計画を新たに発表した。

 だが、この計画に対し、万葉倶楽部側は「事業の前提条件が変わっている」と指摘。同社担当者は「一番困るのが、豊洲が将来的に『物流センター』になるということ。当初は『市場の隣ににぎわいを創出する』という目的のために事業者を募集したはず。そもそもの“ゴール”が変わるということになる」と異議を唱えた。集客できなければ観光施設として採算が取れず、撤退の可能性もあるとした。

 さらに同社は、小池知事の表明前に、都側から計画変更の可能性について説明がなかったことも疑問視。昨年8月に小池知事が移転延期を発表したことで、今年1月から予定していた建設工事の着工も遅れているが、このまま計画が中止されれば、都側に違約金が発生する可能性もある。

 また江東区の山崎孝明区長はこの日の会見で「同じような食のテーマパークが(築地にも)できたらどちらかがおかしくなる。そうならないよう要望していく」と述べ、築地再開発案に懸念を示した。

 千客万来施設を巡っては、最初に運営事業者に決まった大和ハウス工業と「すしざんまい」を展開する喜代村が、契約条件などを巡り、事業から撤退。その後、万葉が名乗りを上げ、都が16年3月に事業者に決まった。万葉が撤退すれば、新たな事業者を探すことになるが、都関係者は「豊洲の用途が固まらない限り、運営事業者は集まらないだろう」と指摘。撤退なら、50年間で約43億円の借地料が都に入らないことになり、小池都政の新たな火だねとなりそうだ。

 ◆築地市場移転問題の経緯

 ▼2016年8月 小池氏が同11月7日に予定されていた豊洲市場の開場延期を表明

 ▼9月 土壌汚染対策などの対応を検討する専門家会議や市場問題プロジェクトチーム(PT)を設置

 ▼17年1月 豊洲市場の地下水から環境基準値を大幅に上回るベンゼンなどを検出

 ▼4月 市場PTが築地市場再整備、豊洲移転案などの原案を示す

 ▼6月 専門家会議が土壌汚染対策などの対策をまとめる。市場PTは築地再整備、築地と豊洲の両市場を活用する案

 ▼同20日 小池氏が豊洲への移転と築地の再開発を発表

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