熱中症予防方法を日本救急医学会専門医・谷口英喜氏に聞く

2017年7月13日13時34分  スポーツ報知

 本格的な夏を迎えて熱中症にかかる人が増えている。総務省消防庁によると今月3~9日の1週間に4241人が熱中症の症状で搬送され、前週の約2・2倍に増えた(速報値)。死亡例も6件で、搬送者全体の半数を65歳以上の高齢者が占めた。熱中症の予防法を日本救急医学会専門医の済生会横浜市東部病院・谷口英喜氏に聞くとともに、対策グッズも探した。(芝野 栄一)

 そもそも熱中症とは。消防関係者向けのセミナーも行っている谷口英喜氏は「気温、湿度が上がることで脱水症となり、異常高体温を引き起こします。最悪、死亡し、回復しても脳神経などに後遺症が残る場合もある。暑い日に足をつったり、食欲がなく気分が悪くなったりすれば、すでに軽い熱中症にかかっている可能性がある」と説明。その上で「予防すればゼロにできる唯一の病気」と強調した。

 搬送者のデータが示すように、熱中症は高齢者がかかりやすい。その理由について、谷口氏は「年齢とともに体内で水分をためておくタンクの役割を果たす筋肉が減少し、汗をかきにくくなる。さらに暑さを感じる神経が衰え、のどの渇きも気づきにくくなっている」と指摘。対策としては、3度の食事をしっかり取ることと、こまめな水分補給の重要性を訴えている。

 熱中症は室内で起こるケースも多く、室温を下げるにはエアコンの使用が有効。たとえば人工的な冷気を嫌ったり、操作方法が分からないなどの理由で高齢者を中心にして、エアコンの使用を嫌がる人もいる。だが、谷口氏は「暑い日には迷わずエアコンを使い、のどが渇く前に水分補給をしたほうがいい」と注意喚起した。

 ◆熱中症で牛乳はNG

 対策はしていても、熱中症にかかってしまうケースもある。その時はどうしたらいいのか?

 外出時なら、すぐに涼しい場所に移動してベルトなど衣服をゆるめ、氷などで大きな動脈が通っている首筋、脇の下などを冷やす。同時に水分補給をしなければならないが、水とともに塩分も失われているので、水分の吸収力を高める塩分と糖分のバランスが適切な「経口補水液OS―1」を飲むのが有効、と日本救急医学会は推奨している。谷口氏も「塩分は水分の吸収力、糖分はその速度を高める役割がある」として軽度から中程度の熱中症時の水分補給にOS―1を薦めた。

 一方で、かかってしまったら飲んではいけないものはある。谷口氏は「熱中症時に牛乳の摂取はダメ。牛乳に含まれたタンパク質が体温を上げる」と注意を促した。

 熱中症は最悪なら死亡に至ることもある。「症状の疑われる患者が、手に取ったペットボトルのキャップが開けられないほど力が入らない場合は重症。すぐに病院へ行ったほうがいい」と、谷口氏は熱中症の恐ろしさも指摘した。

  • 経口補水液OS―1(左からペットボトル500ミリリットル、同280ミリリットル、ゼリー)

    経口補水液OS―1(左からペットボトル500ミリリットル、同280ミリリットル、ゼリー)

 ◆熱中症対策グッズも多数

 熱中症対策グッズは、さまざまな視点から開発されている。※すべて税抜き価格。

 ロボット

 ユカイ工学(東京)が発売している「BOCCO」は、例えば離れて暮らす高齢の親に、熱中症予防を促すのに有効なアイテムだろう。ドアの開け閉めなどを検知する振動センサーとのセット価格で2万9000円。スマホに打ち込んだ文字を送れば音声化して発したり、逆に本体に吹き込んだ声を文字化してスマホに送ったりできるコミュニケーションロボット。置いた部屋の気温、湿度、明るさを感知する「部屋センサー」(7月中旬発売、3980円)と合わせ、一緒に設置して使うことでスマホに室内のデータが送られ、様子を知ることができる。

 例えば室温が熱中症警戒レベルに達すれば、部屋センサーが感知し、通知がスマホに届く。それを受け、部屋にいる高齢者にスマホで「暑いけど大丈夫? エアコンつけてる?」など注意を促せば、そのメッセージがBOCCOから発せられる。さらにBOCCOを通じ、高齢者らから「エアコンつけたよ」などの確認をもらえば安心できる。

 もともとは、振動センサーと、鍵の開け閉めを知らせる「鍵センサー」を使い、誰もいない部屋へ子どもが帰ってきたことを職場などの親に知らせ、会話を促す目的で開発された。同社は「操作が簡単で使いやすく、子どもからご高齢の方にまで使ってもらっています」とアピールする。インターネットに接続するためのWiFi、センサーと通信するためのBluetoothの機能が搭載されているため、使用には部屋の通信環境を整える必要はある。

  • コミュニケーションロボット「BOCCO」(中)と室内の温度などを感知する「部屋センサー」(右)

    コミュニケーションロボット「BOCCO」(中)と室内の温度などを感知する「部屋センサー」(右)

 ◆快適な寝具

 睡眠中に熱中症にかかるケースもあり、寝具を選ぶことも大切。抗菌仕様の低反発マットレス「トゥルースリーパー プレミアケア」(スタンダードタイプのシングルで2万4800円)は本体付属の保護カバーが改良され、春夏用のメッシュ面の通気性が抜群。体の凹凸に合わせて自在に変形し、包み込むようにフィットするため、体への負担が軽減される。秋冬用は反対側を使うので、買い替えが不要。ショップジャパンなどで購入できる。

  • 通気性のいい「トゥルースリーパー プレミアケア」

    通気性のいい「トゥルースリーパー プレミアケア」

 ◆持ち歩き用熱中症計

 日本気象協会が監修するライフサポートチェッカーシリーズの「見守り熱中症計」(ヒロモリ、オープン価格・参考2600円)は携帯型の温湿度計。かわいいマスコットキャラの「熱中くん」がデザインされ、10分おきに自動で気温と湿度を計測し、ブザーとLEDライトで熱中症の危険性を知らせてくれる。ストラップが付いていて持ち運びに便利。裏面は気温と湿度が確認できる液晶が付いている。

  • 携帯型の「見守り熱中症計」

    携帯型の「見守り熱中症計」

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