五輪で使えない東京ビッグサイト…展示会関係者「死活問題」 どうなるコミケ

2017年8月8日6時0分  スポーツ報知
  • 東京五輪・パラリンピックのプレスセンターとして使われるため、1年8か月にわたって利用制約がかかる東京ビッグサイト
  • 来場者が数十万人に上ることで知られるコミックマーケット

 昨年12月、「海の森水上競技場」など3会場を当初の計画通りに建設することが発表され、決着がついた2020年東京五輪・パラリンピックの会場問題。だが、“もう一つの会場問題”には現在も反対の声が上がる。期間中にプレスセンターとなる東京ビッグサイト(江東区)は開催期間前後の計1年8か月の間、利用制約がかかる。同所で開催される同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」や年間300回以上行われる展示会の関係者からは「使用できないのは死活問題だ」と悲鳴が上がる。

 展示場が足りない―。最高峰の戦いを見ようと、各国から観光客が集まる2020年。大会期間中は同時に日本の文化や「ものづくり」の力を世界にアピールする格好の場であるはずが、その機会が大幅に失われようとしている。

 東京ビッグサイトは、19年4月から利用スペースに制約がかかる。これは同所が大会のIBC(国際放送センター)、MPC(メインプレスセンター)となるため。準備工事などが必要で「大会期間中だけ使用禁止」とはいかず、1年8か月間にわたって制約前と比較して最大でも75%、20年7~9月の3か月は全く利用できない状況。対策として現在、南展示棟が増築されているほか、約1キロ離れた場所に仮設の「青海展示棟」を建設し、スペースを確保しようとしている。

 同所で開催される大規模イベントとして有名なのがコミケだ。今夏も週末の11日から3日間にわたって行われるが、19年夏・冬、20年夏と3回にわたって影響を受ける。現在でも出展希望が多く、抽選で参加サークルを選んでいるだけに、スペース減少は大きな問題。20年夏は時期もしくは会場の変更、あるいは中止を余儀なくされることになる。

 日本が世界に誇るマンガ、アニメ文化の“発信地”でもあるだけに、関係者も危機感を募らせている。主催するコミックマーケット準備会は「できる日程、できる開催日数、可能な限り最大限の広さで、東京ビッグサイトでの開催を検討している」とコメント。「会場および東京都の関係部署の皆さんが、与えられた条件の中で、多大なご努力をされていることは認識していますが、同人誌即売会に限らず各種のイベントの継続的開催への大きな影響が避けられません」と窮状をアピールした。

 さらに「このままでは仕事にならない」と訴えるのは、展示会の関係者だ。同所は全国で年間600近く開催されるさまざまな業種の展示会のうち、半数以上の会場として使用されている。営業活動に人員や費用を割けない中小企業にとって、「売り手」と「買い手」が一堂に集まって情報交換や商談をできる展示会は、大きなビジネスチャンスの場といえるのだ。

 日本展示会協会の関係者は「日本は展示場が少なく『ビッグサイトがダメだから、他でやればいい』とはいかない。出展する社だけでなく、展示場の内装や整備をする業者は“仕事場”がなくなるということで、さらに困る。展示場問題は、日本経済に大きな打撃を与えると思います」。ビッグサイトが完全閉鎖される20年5~9月の5か月間だけでも、例年同時期と比較して1兆円以上の売り上げを失うとの試算もあるという。

 「(都が)用地を貸してくれるなら、自分たちで仮設の展示場を建設してもいい。それくらい、切羽詰まっている。例えば、再開発前の築地市場の土地を使わせてもらえないでしょうか」と展示会協会は提案。現在までに約15万人の署名を集めており、今後も展示場不足解消に向けて訴えていくつもりだ。

 これらの悲痛な声に対し、東京都側は「できないものはできない。今後は少しでも問題を解消できるように、各業者の方々と丁寧に調整をしていくことが重要ですし、唯一できること」と対応。現在のところは、これ以上の展示場用地の確保は予定していないという。(高柳 哲人)

 ◆現場も悲鳴

 実際に展示会に出展している中小企業からの“現場の声”は切実だ。

 ネジの開発・販売をする「株式会社サイマコーポレーション」は1年に7~8回、ビッグサイトの展示会に参加する。「他社さんもそうだと思いますが、我々はこの会場でお客さんのニーズを聞いて、その後の商売につなげることも多い。参加できなくなると、2~3年先の業績にまで影響が出てしまう」と斎間孝社長。歯車メーカー「協育歯車工業株式会社」の井田斉昭社長も「ビッグサイトの展示会は、一つの“ブランド”。日本の『ものづくり』の中心となる製造業にとってウェートは大きく、参加できないと困る」と話した。

 ただ、2人とも東京五輪・パラリンピックの開催に関しては「賛成だし、楽しみにしています」。都が少しでも展示会に影響が出ない方策を立ててくれることを願っていた。

 ◆東京五輪・パラリンピック会場問題 小池百合子都知事は昨年9月、整備費削減を目的として「海の森水上競技場」(ボート・カヌー)「有明アリーナ」(バレーボール)「アクアティクスセンター」(水泳)の3会場の新設について見直しを表明。代替会場や既存施設の活用などを視野に検討を進めたが、同12月に従来の計画通り新設することが決定した。

東京五輪

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