恩師が見た羽生善治の「最初で最後の涙」

2017年12月6日7時0分  スポーツ報知
  • 「八王子将棋クラブ」の席主・八木下征男さん

 将棋の羽生善治棋聖(47)は5日、通算7期目の竜王を獲得し「永世竜王」の資格を得て、永世称号制度のある7タイトル(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)全てを手にする「永世7冠」を史上初めて成し遂げた。

 羽生の恩師である東京都八王子市の「八王子将棋クラブ」席主・八木下征男さん(74)は「永世7冠なんて考えもしなかったくらい。普通は衰えも出てくる年齢での達成は素晴らしいです」との言葉を贈った。

 1978年夏、迷子にならないように広島カープの帽子をかぶった小学3年生がクラブにやって来た。「お母さんに連れられてモジモジしてて、背中を押されてようやく入ってきました」。最初の相手はアマ高段者の八木下さん。「まだ駒の動かし方を知ってるくらいで弱かった。6枚落ちでもすぐ勝ちました。でも誰よりも熱心だった。言ったことは必ず守るし、自分で工夫もしていました。負けて怒ったりもしなかった」。一度だけ、羽生が泣いたことがある。まだアマ二段の頃、四段の人と指して負けた。「目をウルウルさせて立ち上がって、相手をにらんで。最初で最後の涙でした」

 毎年ゴールデンウィークが近づくと、羽生から電話がかかってくる。「指導対局に来てくれるんです。申し訳ないから頼んだことはないんですけど、ありがたいです」。今も道場に立つ毎日。「羽生さんと出会っていなければ、もう道場なんてなかったです」

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