「浜名湖うなぎ」商標登録 ウナギ養殖発祥の地元「大きなプラス」と大喜び

スポーツ報知
飲食物の地域団体商標

 特許庁は31日、静岡県浜名湖の名産として知られる養殖ウナギを、全国各地域でのブランド作りをする際に用いられる地域団体商標の「浜名湖うなぎ」の名称で登録することを決めた。地元の漁協は今後、街ぐるみで「浜名湖うなぎ」の名称を積極的にアピールしていくことで、ブランド力の向上を図る。

 19世紀末に、日本で初めて人工池での養鰻(ようまん)が行われた浜名湖のウナギが、「ブランド」として認められた。

 「地域団体商標制度」は、2006年に施行された法律に基づく制度。以前は、地域名と商品名からなる商標が、識別力を有しなかったり、特定の者の独占になじまないなどの理由で商標登録を受けにくかったものを、地域ブランドの育成などを目的として登録しやすくした。飲食物だけでなく、焼き物や織物などの特産品も含まれ、1月12日現在で617件が登録されている。

 「浜名湖うなぎ」の対象は浜名湖で養殖されたウナギのかば焼きと白焼き。特許庁によると、同県の浜松市と湖西市の養鰻業者27業者でつくる「浜名湖養魚漁業協同組合」(浜松市西区)が、06年12月に出願していた。今後、商標は同漁協が管理し、地元の料理店や直売所などにも使用を認める方針で、各店がそれぞれ出していたのぼりも「浜名湖うなぎ」で統一する。

 同漁協の外山昭広組合長は「『浜松といえばウナギ』というのは知られてはいましたが、今回の決定で『浜名湖うなぎ』がやっとブランドになった。今後、PRをしていく面では大きなプラスになると思います」。これまでも、漁協では「浜名湖うなぎ」の呼称は使っていたが、今回“お墨付き”を得られたことで、これまで以上にブランドとして幅広く使用していくことを思い描いている。

 「浜名湖うなぎ」のセールスポイントは「何といっても『ウナギ養殖発祥の地』ということに尽きると思います。『歴史の味』というものを全国の皆さんに味わってもらえれば」と外山さん。隣の愛知県では「豊橋うなぎ」「一色産うなぎ」が既に地域団体商標として登録されているが、「大本命」としてアピールをしていくつもりだ。

 ◆商標 商品やサービスの提供者が他社と区別するために使用するもの。特許庁に申請し、審査を通過して商標が登録されれば申請者のみが独占的に使用することができ、更新によって半永久的に保持できる。例えば、「宅急便」はヤマト運輸が商標を持っており、同様のサービスは一般的には「宅配便」と呼ばなければいけない。2015年4月の商標法改正では、音や動きといった新しいタイプの商標登録が認められ、「おーいお茶」(伊藤園、音声)、「海物語シリーズ」の魚群(三洋物産、動き)などが対象となった。

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