女子アイホ南北合同チームに揺れる韓国…江陵市で緊急アンケート

2018年2月10日8時0分  スポーツ報知
  • 江陵市内に保存されている1996年の江陵浸透事件で座礁した北朝鮮潜水艦

 平昌冬季五輪では10日、女子アイスホッケーの1次リーグで、韓国と北朝鮮の南北合同チームがスイスとの初戦を迎える。試合会場は朝鮮戦争が開戦し、96年には北朝鮮との間で銃撃戦が展開されるなどした江陵市。街の人々は、北朝鮮の参加と合同チームをどう感じているのだろうか。9日、江陵市で緊急アンケートを行った。

 10日に女子アイスホッケーの韓国・スイス戦が行われる江陵市は韓国の中でも、特に北朝鮮への不信感が強いという。朝鮮戦争が勃発した1950年6月25日未明、北朝鮮兵士たちが上陸した都市に、犠牲になった民間人の慰霊碑も建っている。96年9月には座礁した北朝鮮潜水艦の乗組員ら26人が韓国内に逃亡して銃撃戦となった「江陵浸透事件」が起きた。

 1次リーグの韓国戦チケットは予約分が完売し、ネット上に2倍以上の価格での譲渡を求める書き込みが殺到する一方で、「韓国選手の出場機会が奪われた」との批判も根強い。地元の人たちはどう思っているのだろうか。寒波は去って気温は4度。もう半袖でも歩ける暖かさだ。五輪ムードが高まる江陵駅周辺で市民の声を聞いた。

 年配者は露骨に嫌悪感を示した。タクシー運転手のパク・ジュンチョルさん(63)は「北韓(北朝鮮)の参加してやるという上から目線は何だ。彼らに媚(こ)びている文在寅大統領にはリーダーの資格がない」と吐き捨てた。江陵は、もともと政治的には保守的な土地柄。北朝鮮との融和的な方針を目指す革新系の文大統領への批判の声が多かった。

 40代以上では北朝鮮の参加に反対する声が賛成を上回ったが、20~30代は「別にいいんじゃないですか」と肯定する声が大半だった。合同チームについても、ボランティアの男子学生(23)は「政治的な意図があるにしても平和目的ならいいのではないか。抗議活動している人の気持ちがよく分からない」。喫茶店勤務の女性(28)は「卓球世界選手権(91年)の南北チームの時もそうでしたが、やったからといってすぐに友好にはつながらない。でもやらないよりは良いと思います」と話した。

 今回のアンケートは、北朝鮮の五輪参加については「賛成」が上回り、合同チームの結成については9対9。賛否両論が渦巻く複雑な市民感情が浮き彫りとなった。

 「江陵浸透事件」で座礁した北朝鮮の潜水艦は、市の中心から約15キロ離れた統一公園に展示されている。全長35メートル、325トン。遊園地のアトラクションのようだが、中に入ると計器が乱雑に設置されていて生々しい。案内してくれたのは、元江原大学校教授の金東烈さん(67)。「同じ民族に北も南もありません。悪いのは(北の)指導者であって人々ではない。そこを混同してはいけないのです」という言葉が印象に残った。

 ◆韓国全体では反対50%

 韓国全体の考え方はどうなのだろうか。2日発表の世論調査では、開会式での南北合同入場行進について賛成が半数を超えたのに、合同チーム結成は反対が50%を占め賛成意見を10ポイント上回った。保守系最大野党・自由韓国党は「韓国選手が中心にいなければならない大会が、北朝鮮の体制宣伝の場になった」と非難。「偽装平和攻勢にだまされてはいけない」と主張している。

  • 江陵市民アンケートの結果

    江陵市民アンケートの結果

 ◆江陵浸透事件 1996年9月、工作活動中の北朝鮮の特殊潜水艦が魚網に引っかかって座礁し、帰国手段を失った乗組員・工作員計26人が韓国内に逃亡・潜伏した事件。韓国軍は掃討作戦により1人を逮捕、13人を射殺した。11人が集団自決、行方不明が1人。韓国側は民間人4人を含む17人が死亡した。

  • 展示されている潜水艦内部の様子

    展示されている潜水艦内部の様子

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