駒形チョコ「将棋デショコラ」が売り上げ2万個突破

スポーツ報知
「今までにないものがあると面白いですよね」。新商品を続々と手掛けている清水市代女流六段

 時には甘い一手を―。バレンタインデーを控え、駒形チョコレート「将棋デショコラ」(8個入り、1400円)が人気となっている。まるで本物と見間違えるほど精巧に作られた逸品は先月22日の発売以来、売り上げ2万個を超える大ヒット。日本将棋連盟常務理事として商品企画を担当する清水市代女流六段(49)は「ぜひ思いを伝えるチョコレートに」とPR。甘~い勝負手に、相手も投了?

 「最初は『チョコレートの駒なんだ~!』って驚きましたけど、今までにないものだから楽しいなって」。清水女流六段は、スイーツ大好き女子の顔で語る。「あと、形ばかりじゃなくてとってもおいしい。質がいいからこそ工夫が生きる、というのは将棋の考えにも通じますよね」

 デザイン、サイズ、存在感とも本物としか思えない「将棋デショコラ」は一心堂本舗(東京都)が販売し、将棋連盟が推薦する商品。昨年、第1弾が販売されるや即日完売。再販分も即、売り切れの人気となった。

 今年は十分な在庫を用意して先月22日に発売したが、売れ行きは昨年の1・5倍増。全8種類の駒が1枚ずつそろった通常版は実売2万個を突破した。本来の将棋と同じように全40枚の駒がある限定版は、ビターチョコVSホワイトチョコの対局も楽しめる(熱戦になれば盤上がドロドロになるのは必至だが…)。1万円と高価ながら発売日に完売した。

 一心堂本舗の戸村憲人社長(42)は「最初は敷居の高い世界だと思っていましたし、駒を食べるなんて…と思われてしまうかもと心配しましたが、棋士の先生方もファンの方も喜んでいただき、ありがたいです」と語る。実際の駒から取った型にガーナ産の高級カカオを使用したチョコレートを流し込んで作っており、上質な香りと口どけが特長だ。東西将棋会館の他、インターネットなどで4月下旬(予定)まで購入可能だ。

 一見、異質なもの同士のコラボレーションにも映るが、棋士とチョコレートは長年の蜜月関係にある。思考する脳を活性化させるために糖分は必要不可欠で、対局中にチョコを食べる棋士は多い。藤井聡太五段(15)も毎局、飲料などとともに座布団の脇に常備している。

 30年以上にわたって活躍する清水女流六段はプレーヤーの視点で語る。「対局中、無意識に甘いものを取りたくなります。良き相棒といいますか…疲れている時に味覚でリセットできますし、ギリギリの勝負の中でも心を豊かにしてくれます。盤上はカラく(将棋用語で『厳しく』)ないといけないですから」。戸村社長は「ぜひ藤井五段にも『将棋デショコラ』を対局中に…いや、リフレッシュできないですね」と頭をかきつつ「一般の方には、ぜひバレンタインデーの『勝負』として贈ってほしいです」と願う。

 ちなみに清水女流六段のバレンタインデーは…。「自分の思いを伝える日としてとってもいいきっかけの日だと昔から思っていますよ。私は好きな人にしか渡さないので」。義理チョコなしが勝負師の流儀である。(北野 新太)

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