半袖記者の平昌リポート…江陵スタイル!コーヒー祭りで街をHOTに

スポーツ報知
安木コーヒー通りで日本を応援しているカフェ「クイーンベリー」のクォン・リョウォンさん(右)

 平昌五輪のスケート競技が行われている江陵市は韓国随一のコーヒーの街として有名だ。江陵発のコーヒーブランドが3種あり、海辺の安木コーヒー通りにはおしゃれなカフェが並んでいる。五輪開催期間に合わせて江陵のコーヒー文化を世界にPRしようと「江陵世界冬コーヒー祝祭」も開催中だ。いつから、どうしてコーヒーの街として売り出すようになったのだろうか。

 江陵の海辺を歩いていたらジャズが聞こえてきた。なにやらイベントをやっているようでにぎやかだ。焙煎された香ばしい匂いがする。入り口の女性に「五輪は江陵のコーヒーを外国の方々に知っていただく絶好の機会。ぜひ寄って行ってください」と歓迎された。江陵のコーヒー祭りだ。2009年から例年冬に開催しているが、今年は開催期間も平昌五輪と全く同じの2月9~25日に設定。世界にしっかりアピールする狙いだ。

 コーヒーの試飲はもちろん、ジャズなどの音楽イベント、焙煎体験、関連商品販売となかなか充実していて、韓国コーヒー史の展示もある。あわせて近隣のカフェでは1店1国応援を展開中。日本代表を応援する「クイーンベリー」は、地元ブランドのコーヒーに羊かんをつけてくれた。店主のクォン・リョウォンさん(24)は「福岡や大阪を旅行して日本にはまりました。日本のお客さんもよく来てくれます」

 20年以上前の学生時代から韓国旅行を繰り返してきたが、韓国でコーヒーといえば、インスタントコーヒーに砂糖、ミルクが混ざったスティックタイプの「ミックスコーヒー」のイメージしかない。インスタントコーヒーは日本の発明品だが、韓国はこの「ミックスコーヒー」を1976年に開発したことを誇りとしてきた。それとはギャップがある本格的なコーヒーで街おこしをしている理由を知りたくなった。

 カフェに関わる人たちの話を総合するとこういうことらしい。80年代、安木海岸にコーヒーの自動販売機が1台あった。売れ行きが良かったので徐々に台数を増やしてもやはり売れた。「それならカフェを開いてみようじゃないか」となってどんどん店舗が増えていった。宇都宮市や浜松市が餃子で街おこしを始めたのは、もともとの消費量が多かったのがきっかけだったと聞いたことがあるが、やはり同じようなものなのか。

 現在は「カッパー」「デラ・ローサ」「ボヘミアン」という3種の江陵発のコーヒー豆のブランドがある。「珈琲パン」というB級グルメも売り出し中。パンといっても栗まんじゅうによく似ていて餡(あん)がコーヒー味だ。今でも海辺には黎明(れいめい)期をしのぶように古めかしい3台のコーヒー自動販売機が稼働している。(甲斐 毅彦)

社会