韓国では「皇帝誕生」の話題で持ちきり…ユヅではなく「ユンの時代だ」

スポーツ報知

 羽生結弦(23)=ANA=の連覇で、日本は平昌五輪金メダル第1号が誕生したが、開催地の韓国は、今大会2つ目の金メダルで大いに沸いている。16日の男子スケルトンで尹誠彬(ユン・ソンビン、23)=江原道庁=が優勝。そり競技ではアジア初の金メダルで、韓国ではお家芸のスケート以外で冬季五輪史上初のメダルとなった。一夜にして英雄だ。

 「皇帝誕生」、「旧正月の贈り物」。韓国のネットメディアには、そんな見出しが躍っている。快挙に導いた総監督は「これから10年は尹誠彬の時代だ」と興奮気味にコメント。一夜明けた17日昼、尹は公営放送KBS放送に生出演し「これを機にスケルトンを多くの方に知ってもらえたらうれしい」と話していた。

 少年時代にはサッカーや短距離走で活躍し、中学時代はバドミントン部。バスケ部だった高校時代にずば抜けた身体能力の高さが、ソウル市ボブスレー・スケルトン連盟理事を兼任していた体育教師の目に留まり、17歳でスケルトンを始めた。3年後にはW杯で優勝。昨シーズンは世界ランク1位になり、金メダルの有力候補として韓国国内で期待はされていた。

 愛称は愛用のヘルメットに描かれている映画の「アイアンマン」。試合前には強いメンソール成分が含まれている軟膏(なんこう)「タイガーバーム」を体に塗ってテンションを高めるそうで、まねする韓国選手が増えているそうだ。

 一部の才能に英才教育を施し、金メダルを狙うのが従来の韓国式だが、現在は各種目の底辺拡大が韓国スポーツ界の最大の課題といわれている。バンクーバー五輪金メダリストの金妍兒(27)も、フィギュア育成の土壌がない韓国に突然現れた天才だった。後継者が平昌に間に合わなかったことは韓国のフィギュア関係者が痛感しているところだ。スケルトンも同じ問題を抱えている。

 羽生は韓国でも注目されている。続々と有力選手が生まれる日本フィギュア界そのものに向けられた目でもある。

 ◆平昌五輪での韓国のメダル 17日までに金3つ、銅2つ。金は男子スケルトンの尹誠彬と、ショートトラック男子1500メートルを制した林孝峻(イム・ヒョジュン、21)。3つめは同女子1500メートルの崔ミン禎(チェ・ミンジョン、19)。

社会