小平奈緒、李相花との抱擁を韓国メディアが絶賛

スポーツ報知
韓国語も交えて会見した小平(右)(左は李)

 18日の平昌五輪スピードスケート女子500メートルで、金メダルを獲得した小平奈緒(31)=相沢病院=を称賛する声が、韓国国内でも広がっている。3連覇を阻止され、銀メダルとなった李相花(イ・サンファ、28)と健闘をたたえ合っての抱擁を韓国メディアは「五輪精神を体現した」(聯合ニュースTV)などと絶賛。小平が会見で韓国語を使ったことも好感度アップにつながったようだ。

 平昌五輪を取材に来て、こんなにも美しい光景が見られるとは思わなかった。切磋琢磨(せっさたくま)しあってきた日韓のライバルが金、銀を獲得して、それぞれの国旗をまとって抱擁。満員だった競技場には太極旗に負けない数の日の丸が揺れていた。勝敗が決まった後、李相花コールが巻き起こると会場は一体化した。日本から来た小平の応援団もライバルの健闘をたたえたのだ。

 試合前から韓国メディアの小平への注目度は高かったが、「新興強者」という紹介のみ。人物像を伝える報道はほとんどなかった。李の知られざるライバルへの注目は、試合後に好感へと変わった。中央日報は「競争後は和合。五輪精神を見せてくれた」。文化日報は「2人の英雄 美しい同行(2人でのウィニングラン)」と報じた。ネット上でも称賛の書き込みが続いた。

 韓国国民への好感度をさらに上げたのは記者会見で、小平が使った3つの韓国語だ。試合直後には李に「チャレッソ(頑張ったね)」と声を掛けていたことを明かした。小平が以前、李にタクシー代を出してもらったエピソードを話した後、李が小平から日本でおいしい食べ物をプレゼントしてもらったと明かした後で「奈緒の短所は思いつかない」と話すと「コマウォ(ありがとう)」とつぶやいた。韓国の記者に「北京五輪で再び対決するのか」と問われると、李より先に「モルラヨ(分からない)」と答えた。3つとも会話集などではなく、韓国人とコミュニケーションを取っていなければ出てこない自然な言葉だった。

 2人のように互いに尊重し合い、高め合う日韓関係が社会でも実現したらどんなに素晴らしいことだろう。確かに領土問題や歴史認識の溝を埋めていくのは簡単ではない。英文学を専攻した仁川市の大学を卒業して、五輪ボランティアに参加している金慧潤(キム・ヘユン)さん(23)も2人の抱擁に感動したという。「スポーツと政治は別なので、すぐに根本的な解決はできないと思う。でも、2人のように友好の輪を広げていくことだったら…」。棘(とげ)の痛みを和らげていくことならば、私たちにでもすぐにできる。

スポーツ

×