高木姉妹出身の北海道幕別町で金パレード!町長が明言 「特別賞」も授与へ

スポーツ報知
約300人の町民が訪れ女子団体追い抜き準決勝で声援する幕別町PV会場

 平昌五輪スピードスケート女子の団体追い抜きで金メダルを獲得した高木美帆(23)=日体大助手=の地元、北海道幕別町の飯田晴義町長(62)は21日、今季終了後の4月上旬にも、姉・菜那(25)=日本電産サンキョー=とともに、同町初の「凱旋パレード」を実施する意向を明かした。高木姉妹は、町民栄誉賞をすでに受賞しているが、パレードに合わせ「特別賞」を授与する予定だ。

 パブリックビューイング(PV)を行った同町「百年記念ホール」の最前列に陣取った飯田町長は、金メダルが決まった瞬間、「感激した。ありがとう」と日の丸を掲げて喜んだ。そして「幕別町初の五輪メダリスト誕生を、全町民とともに、パレードという形で祝福したい」と話した。

 人口約2万7000人の小さな町で過去、冬季5人、夏季3人の五輪選手を生んだ幕別町だが、今大会前まではメダリストはゼロだった。平昌では高木美が1000メートルで銅、1500メートルで銀、この日の団体追い抜きで金を獲得し3つのメダルをコンプリート。姉・菜那も金メダルと大活躍だ。

 同町長は足寄町出身で足寄小、中学と歌手の松山千春(62)と同級生で遊び仲間だった。中学まではスピードスケート選手だったこともあり、高木美の小学時代から注目。姉妹が帰省した今年元旦には、自宅を訪ね五輪代表のお祝いと激励も行っただけに、今五輪でのメダル獲得の喜びもひとしおだ。

 今後は、五輪終了後に両選手の所属チームなどと調整、4月上旬の実現を目指す。オープンカーで、幕別町役場のある本町と、高木選手の実家がある札内地区の2か所で合計数キロのパレードを計画。その後、町内で祝賀会を開催。高木姉妹はすでに、町民栄誉賞を受賞しているため、祝賀会会場で現在名称を検討中の“特別賞”を授与する予定だ。

 また、同町は2016年から毎年、現役の五輪出場選手を招き、こどもたちとのスポーツ教室や交流会などを開催。同町長は「今年は、明治北海道十勝オーバルの7月の夏季オープンに合わせ、“メダリスト講習”として十勝全域のジュニア選手を集め技術、メンタル指導をお願いし、未来の五輪選手育成につなげたい」と希望した。

 ◆幕別町は「自然」「指導」「食」スポーツに適した地

 人口約2万7000人の小さな町ながら、夏・冬季合わせて8人のオリンピアンを生んだ幕別町は、「パークゴルフ発祥の地」としても知られている。その効果か、老若男女を問わず町民のスポーツを通した健康意識は高い。

 高木姉妹の母・美佐子さん(55)も「さまざまなスポーツを経験、健康な体になってほしい」と兄・大輔さん(27)と姉妹に小さい時からスケート以外に陸上、サッカーなどさまざまな競技に打ち込ませた。自然に恵まれ近くにグラウンド、冬場は天然リンクもあり、手軽にスポーツに打ち込める環境が整っている。陸上の福島千里も小学校時代はスケートも経験している。

 指導者も“オール十勝”の意識が強く、合同練習を実施。高木美の中学時代も、十勝全域から集まった80~90人の選手と切磋琢磨(せっさたくま)し技を磨き力を伸ばした。

 食べ物でもジャガイモ、豆類など北海道の穀倉地帯といわれる十勝。恵まれた“栄養補給”も強じんな体力の下地となり、オリンピアン量産につながっているのではないか。(北海道支局・小林聖孝)

 ◆北海道出身の冬季五輪スケートメダリスト凱旋パレード

 ▽98年長野五輪・スピードスケート500メートル「金」清水宏保 4月14日に帯広駅前から帯広市役所まで約1キロ、赤いオープンカーでパレード。沿道には約3万5000人が詰めかけた。

 ▽02年ソルトレークシティー五輪・スピードスケート男子500メートル「銀」清水宏保 3月10日に帯広市内西2南6~帯広駅前でオープンカーを使い実施、約3万8000人が集まった。

 ▽10年バンクーバー五輪・スピードスケート男子500メートル「銀」長島圭一郎 3月21日に地元・池田町のメインストリートをジープ型の車で約500メートルパレードし、約3000人が祝福。

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