東京五輪の選手移動ルートの“環2”12月に暫定開通

スポーツ報知
当初の計画通りに地下トンネルが掘られている汐留付近の環状2号線

 平昌五輪が25日、閉幕し、次はいよいよ2020年東京五輪に世界の注目が集まる。立候補ファイルで輸送の「大動脈」と位置づけられた都道・環状2号線(環2)は、10月の築地市場の豊洲移転を受けて、地上部分を暫定的に開通する。夢の舞台に向けて準備は急ピッチに進んでいく。

 2020年に向け東京の町並みが徐々に変わっていく。都内には8つの環状道路があり、環8(カンパチ)、環7(カンナナ)などと呼ばれている。五輪の主要輸送ルートとなる環2は江東区有明2丁目、港区新橋、新宿区四谷を経由し、JR秋葉原近くの千代田区神田佐久間町まで続く。選手や関係者は選手村(晴海)から主にこのルートを使って新国立競技場などに移動する。

 国土交通省によると、道路を円のようにつなぐことで、都心部の渋滞緩和のほか、災害発生時の避難経路を確保する役割がある。築地市場移転後に整備される環2により、選手村が建設される晴海、豊洲市場など臨海部のアクセスが大きく改善する。大手デベロッパー幹部は「道路などが整備され、五輪後も湾岸周辺の再開発は続くだろう」との見通しを語る。

 築地市場は10月11日に豊洲市場(江東区)に移転することが決定。土壌汚染対策などで当初の予定より1年11か月遅れた。そのため、都は移転完了の2か月後までに暫定の迂回(うかい)路を整備する。急激なカーブのため徐行が必要で、隅田川を渡る築地大橋には急カーブに注意の看板も設置された。築地大橋から直進する道路は20年3月までの完成を目指す。いずれも片側1車線で、渋滞が懸念されている。2車線となる予定だった地下トンネルは市場移転問題で工期が間に合わず、五輪後となる。輸送プランの実現は今後も「綱渡りの状態」(都幹部)という。

 市場の解体工事は今年10月から約1年4か月で行う。市場跡地は五輪開催時にバス850台、乗用車1850台を収容する駐車場となる。都はこれを含む臨海部など計7か所を駐車場として活用。運転手の休憩場所や管理事務所などを整備する。大会時はバス2000台、乗用車4000台の計6000台を見込んでおり、テロ対策や大会運営にも影響する輸送計画は都や大会組織委員会にとって重要課題の一つとなっている。

 10月に築地市場の移転が終われば、年末には環2が一部で開通し、ボート・カヌー会場となる海の森水上競技場も完成する。18年は「東京」が大きく変わる一年になる。

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