震災から7年、岩手・大槌駅が「ひょうたん島」駅に…今夏駅舎建設開始

スポーツ報知
大槌湾に浮かぶ町のシンボル「ひょうたん島」こと蓬莱島

 東日本大震災は11日、発生から7年を迎える。震災以降、不通の状態が続いているJR山田線の釜石―宮古駅間は、2018年度中に三陸鉄道に移管されての営業再開が予定されている。同区間内にある大槌駅(岩手県大槌町)は、町のシンボルである「ひょうたん島」を駅舎のモデルとすることが決定。今夏には建設工事が始まる。平野公三町長(61)を筆頭とした住民は、「ひょうたん島」駅が町に再び活気を戻すシンボルとなることを信じている。(高柳 哲人)

 町外からの観光客を迎え入れる“玄関”は、町のシンボルにしたい―。その思いで決定した「ひょうたん島」の駅舎の建設が、いよいよ今年の夏から始まる。

 「ひょうたん島」とは、町の中心部から3キロほど離れた大槌湾に浮かぶ島・蓬莱(ほうらい)島の通称。作家・井上ひさしさんの代表作の一つとして知られる人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされている。

 山田線の釜石―宮古駅間は、JRが復旧工事を行った後に、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で一躍有名となった三陸鉄道に移管されることが14年に決定。大槌駅の駅舎建設もJR側に任せる案もあったが、「『今後の町の活性化のために、駅を観光交流の起点にしたい』という要望が出たことから、町で整備をすることが決まりました」と大槌町役場総合政策部の土屋昌之さんは説明した。

 そこで生まれたのが、町民にデザインを選んでもらうというアイデア。昨年8月11、12日に町内の商業施設で「総選挙」と銘打った投票を実施した。1701人が参加し、3案の中から半数以上の支持を得て、屋根がひょうたんの形をした「ひょうたん島」案が選ばれた。

 「江戸時代から景勝地として記録が残っている島。正午のチャイムには『ひょっこり―』の曲が採用されており、町民にとって非常になじみの深い存在」と平野町長。津波で島の神社と灯台が被害を受けたものの、現在は再建されている。

 8年ぶり開通 駅の開業は来年3月の予定。8年ぶりに鉄路がつながるのは町にとっての悲願だ。土屋さんは「現在も釜石から大槌まではバスで来られますが、乗り継ぎを考えると鉄道があるのは重要なんです」と力を込めた。岩手県の観光統計によると、同町の入込客数は震災前の10年4~12月が約14万8000人だったが、16年同時期では6割以下の約8万6000人にとどまっている。

 19年には、隣接する釜石市の鵜住居(うのすまい)駅近くに完成するスタジアムでラグビーW杯が行われる。平野町長は「大槌町は、震災を通じて全国の支援者や復興事業関係者など、多くの方々とのつながりが生まれました。鉄道が再開することで、ご支援いただいた方々への感謝の意も含め、交流人口の拡大に取り組みたい」。ひょうたん島と新駅が、復興の輪を広げるシンボルになれるよう、意気込んでいる。

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