訳あり食品を格安販売でフードロス解消「フードシェアリング」に注目集まる

スポーツ報知

 安全で問題なく食べられるのに廃棄してしまう「フードロス」が問題になっている。環境省と農林水産省の調査では、日本では1年間に約621万トン(2014年の推計)もの食料品が捨てられている。2015年の国連世界食糧計画(WFP)の食糧援助量は約320万トン。日本では、その2倍近くの食料品を廃棄している計算だ。そんなフードロスをなくすために、飲食店と食品メーカーなどと消費者をつなぐフードシェアリングサービスが注目を集めている。(高田 典孝)

 日本国内のフードロスは、2014年の1年間で約621万トン。これを日本人1人当たりに換算すると、毎日茶わんで約1杯分(約136グラム)の量を捨てていることになる。今年2月3日の節分の日が過ぎた後、売れ残った恵方巻きが大量に廃棄された写真がSNSに投稿され、論議を呼んだ。フードロスは今や大きな社会問題になっている。

 このフードロスを削減していこうという取り組みが広がっている。eコマース事業などを手掛ける会社「グラウクス」は、販売終了商品や賞味期限が間近な商品などをお得な価格で販売するショッピングサイト「KURADASHI.jp」を公開している。このサイトで扱っているのは、販売終了したり賞味期限が近い商品だけでなく、季節や地域限定、ラベルや梱包にダメージがある商品などだ。その種類は100種以上。なかには97%引きという格安のものもある。いずれもまだ食べられるのに、いろいろな理由から廃棄せざるをえないものばかり。

 しかし、メーカーが食品などを廃棄する場合にも費用がかかる。「日本は規格が厳しく、賞味期限が近づくと売れない。指定された通りに作れないと納入できない。メーカーとしてはブランドを維持したいためにフードロスが増えている。しかし、それはある意味、宝の山なんです」とグラウクスの関藤竜也社長は言う。

 今まではメーカー側がブランドを守るためにも、賞味期限が間近な商品のようなものは市場にあまり出さなかった。しかし、フードロスが社会問題になってきたことで「やっと機が熟してきた」という。「メーカー側は廃棄するコストを削減できる。消費者は安く購入できる。双方にメリットがある。社会貢献にも役立っているということが理解されてきた」と関藤社長は説明する。

 そこで、社会貢献を実感してもらう仕組みも作った。このサイトで販売されている商品を買うと、その代金の3~5%が環境保護や動物保護、社会福祉などの支援を行っている団体へ寄付される。「廃棄の際に出る二酸化炭素の削減にもつながる。環境にもやさしい仕組みになっている」という。

 現在、このサイトの会員は約4万4000人。40代の主婦が中心だ。「今後は野菜や果物などもそろえたい」と関藤社長は抱負を語る。「規格外の野菜は出荷できない。果物などは完熟する前に出荷するので、収穫できずに完熟してしまったものは廃棄せざるを得ない。このサイトでそのような野菜や果物を扱えば、農家を守ることにもつながる」。さらに日配品もそろえる考えだ。

 ◆KURADASHI.jp ホームページで会員登録。月額324円を支払うと送料が無料になるプレミアム会員になる。購入したい商品の「購入する」ボタンをクリック。注文内容の確認ページへ移動、クレジット決済または代引き決済を選択。必要項目を入力し、入力内容の確認後、購入完了。ただし、商品は注文後ではなく、受付期間終了後に出荷される。画面に出荷予定日が記載されており、おおよそ記載日から2~5日後に商品が届く。

社会