飲食店が「定額制」導入 フードロス解消をベンチャー企業が手助け

スポーツ報知

 安全で問題なく食べられるのに廃棄してしまう「フードロス」が問題になっている。環境省と農林水産省の調査では、日本では1年間に約621万トン(2014年の推計)もの食料品が捨てられている。2015年の国連世界食糧計画(WFP)の食糧援助量は約320万トン。日本では、その2倍近くの食料品を廃棄している計算だ。そんなフードロスをなくすために、飲食店と食品メーカーなどと消費者をつなぐフードシェアリングサービスが注目を集めている。(高田 典孝)

 飲食店のフードロスを削減するサービスも、本格的に始動する。世の中の“あったらいいな”を実現するサービスやモノづくりを目指す起業会社「SHIFFT」は、フードロスを減らしたい飲食店と安く食べたい消費者を結びつけるサービス「Reduce GO」を開発した。現在、公開に向け準備中だ。

 このサービスでは、スマホのアプリを使って、利用者がいる周辺のレストランやカフェ、小売店などで余った食品を提供している店舗を検索し、1日2回まで利用できる。費用は月額1980円(税別)の使用料のみで、各店舗で追加料金などは発生しない。

 今回のサービスの開発経緯について、同社の上村宗輔さんは「学生時代にレストランで働いていた時に余った食品が出たことを見ていて、それがずっと頭にあったんです」と言う。いろいろ調べていくと、海外ではフードシェアリングが行われていることが分かった。欧州を中心としたフードシェアリングサービスは、店舗側が値引きした商品をインターネットに掲載し、購入者が店舗まで取りに来るというものだ。「このやり方なら社会的な意味もあると考えた」と言う。

 しかし、今回の海外の事例をそのままそっくり日本に置き換えたわけではない。「月額制」で、加盟店も利用者にも利益があるようなシステムになっている。利用者が払う月額がプールされ、その59%が加盟店に均等配分。多くの店舗は、常に食品廃棄費用が発生しているが、加盟店では、その費用が削減され、このサービスで得た収益が加わる。

 とはいえ店舗としては、ブランドイメージを維持するために安売りはしたくない。「ブランドイメージを傷つけるというリスクはもちろんあります。しかし、それ以上に廃棄するより食べてもらいたい。集客につなげたい、店を宣伝したいと考える店舗に参加していただいています」と言う。さらにこのサービスでも社会活動団体への寄付を行う。「月額料金の総額の2%を寄付します。社会貢献活動の一つなので、店舗側も参加しやすいのではと考えています」と上村さんは話している。

 本格的なサービスは、東京23区を対象に近々始まる見込み。その後は全国展開を考えている。サービス利用には事前に会員登録が必要だが、新規登録は順次開始する予定だ。

 ◆Reduce GO スマホなどにアプリを入れ、会員登録する。位置情報をONにすると、近くで利用できる店舗と商品、数量、店舗までのおおよその距離が表示される。商品をタップすると店舗と商品が表示され、「注文する」をタップする。ID番号と受け取り時間の表示がでるので、これを時間内に利用店舗で提示すればサービスが受けられる。

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