中国の宇宙実験施設が制御不能で地球に落ちて来る!?

スポーツ報知

 制御不能とみられる中国の宇宙実験施設「天宮(てんきゅう)1号」が、30日から4月6日に地球に落下する可能性が高いとする予測を、欧州宇宙機関(ESA)が発表した。大気圏突入時に大部分が燃え尽きるが、一部の残骸が北緯43度から南緯43度の範囲に落ちる恐れがあるとしている。

 日本のほぼ全土や米国のワシントン、中国・北京など主要都市も含まれる。落下の場所や時期を絞るのは直前まで難しいが、ESAは人を直撃する恐れは「1年の間に雷に打たれる確率の1000万分の1」としている。一般的に雷が直撃する確率は1000万分の1程度とされており、人間を直撃する確率は100兆分の1以下の極めて低い確率となる。

 中国は、詳しい予測を事前に国連に通知するとしている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、米国や、地球周辺の小天体を監視する「日本スペースガード協会」(東京)などと情報交換しながら、天宮1号の動きを追っている。

 天宮1号は全長約10メートルで燃料を含む打ち上げ時の重さは約8・5トン。ESAによると、落下の可能性は低緯度よりも高緯度の方が高いという。

急激に高度が低下 中国の宇宙開発当局のホームページでは16日時点の高度は約240キロ。英紙ガーディアン電子版は数か月で急激に高度が下がったとし、落下の場所や時期について「大気圏突入の1週間前になれば、確信をもって議論できるだろう」とする専門家の意見を紹介した。

 1979年に米国の宇宙ステーション「スカイラブ」、91年に旧ソ連の「サリュート7号」がそれぞれ制御不能で落下し、破片が地表に達したが、けが人の報告はなかった。2001年にはロシアのステーション「ミール」が制御されながら南太平洋に廃棄された。

 ◆天宮1号 中国が有人宇宙ステーションの建設を見据え、宇宙船とのドッキングや飛行士の滞在を試す目的で、2011年9月に打ち上げた宇宙実験施設。12年6月に有人宇宙船とドッキングし、中国人飛行士が初めて乗り移った。エンジンを利用して地球の高度300キロ台を周回し、16年3月に運用を終えた。制御不能になっているとみられ、宇宙空間にわずかにある空気の抵抗を受けて徐々に高度を下げている。

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