松山刑務所から27歳男脱走 広島・尾道市で盗難車発見 愛媛県警が指名手配

スポーツ報知

 愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から平尾龍磨受刑者(27)が逃走した事件が8日にあり、愛媛県警は9日、同受刑者を逃走容疑で指名手配した。今治市と瀬戸内しまなみ海道で結ばれている広島県尾道市・向島(むかいしま)の尾道大橋付近で平尾容疑者が使ったとみられる盗難車が見つかり、愛媛、広島県警が周辺を捜索している。

 松山刑務所によると、脱走容疑で指名手配をされた平尾容疑者は窃盗などの罪で服役中だった。昨年12月から同作業場に収容されていた。

 両県警などによると、平尾容疑者は身長約173センチでやせ形、黒髪の短髪。黒っぽいジャージー姿で、白の運動靴を履いていた。8日午後6時10分ごろ、作業場の防犯カメラに、同容疑者とみられる男が敷地外へ走って行く姿が映っていた。自由時間になった午後7時ごろ、談話室に現れず、自室にもいなかったため作業場の職員が110番した。無施錠だった1階廊下の窓から逃走した可能性があるという。

 その後、1キロ余り離れた今治市内の住宅が荒らされ、乗用車と現金が入った財布が盗まれたことが判明。午後8時半ごろ、尾道大橋付近で車を発見した。平尾容疑者が刑務所での作業用に履いていた白の運動靴も見つかった。場所は島内の住宅地にある尾道市立向東中周辺で、盗難車が見つかった現場と同中は約1キロの距離。また、向島の住宅から車の鍵や現金などが盗まれ、周辺から「車をお借りします」との趣旨のメモが見つかったことも住民や捜査関係者への取材で判明。車は盗まれていないが、両県警は同容疑者が関与した可能性があるとして捜査している。

 法務省によると、大井造船作業場は民間の造船所の敷地を借り、一般作業員と働き「塀のない」刑務所と言われる。常時監視はしておらず、窓や玄関は内側から開けられる。生活態度が良好な状態が継続し、逃走や自殺を図ったことがないなどの基準に該当する模範囚が収容されている。

 同省によると、同作業場では1961年の開所以降、今回を含め17件20人の逃走事案が発生。最近では2002年8月20日朝、20代の男性受刑者が約2メートルの金網フェンスを乗り越えて脱走。約1時間30分後に身柄を確保された。

 平尾容疑者が潜伏しているとみられる向島では、自営業女性(62)が「警察から、家と車の施錠を徹底するように言われた。今朝から地震もあって不安」と話し、別の自営業男性(52)も「高齢の母親を病院に連れて行く予定だったが、検問による渋滞で動けない。早く捕まってほしい」と語った。逃走事件を受け、法務省の担当者は同省で開いた再発防止検討委員会の中で、「開放的施設は再犯防止に良い効果がある。施設に合った警備システムが必要だ」と話した。

 ◆その他の開放型刑事施設

 ▼網走刑務所二見ケ岡農場(北海道)隣接する農場で牛の飼育を行う。「網走監獄和牛」は一般販売もされている

 ▼広島刑務所・尾道刑務支所有井構外泊込作業場 造船会社の作業場で鋼材加工や工事現場の釣り上げ作業などを行う

 ▼市原刑務所(千葉県) 交通関係の男性受刑者を収容。比較的規則がゆるく、受刑者によっては休日の運動・散歩も自由に

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