国連パレスチナ難民救済事業機関の清田氏、なでしこに「平和の尊さを深く感じ感謝」

スポーツ報知
なでしこの中国戦を観戦し、試合後にピッチを背に記念撮影する清田氏

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA、ウンルワ)の清田(せいた)明宏保健局長(57)が、17日にヨルダン・アンマンのキングアブドラ二世スタジアムで行われたアジア杯の準決勝、なでしこジャパン対中国の試合をスタンドで観戦した。

 3―1でなでしこが勝った試合を見守り、清田氏は「なでしこジャパンの勝利を呼び込む、闘志あふれる試合運びに感激した。全選手の心が一つになり、ボールを追う。観客の心も一つに。サッカー以外はこの世にない、と思わせる至高の平和の一瞬だ。その平和の尊さを深く感じ感謝。スタンドで一緒に日本を応援する現地ヨルダンの人たちの笑顔がとても素敵だ」と感想を述べた。また、スタンドには多くの中国サポーターの姿が。「中国の応援団の多さには驚いた。バス数台を連ねて在ヨルダンの中国人が大量に来ていた。この中東の地ヨルダンに大量の中国人。グローバリゼーションをこの目で見た気がした」と会場の雰囲気にも驚かされたという。

 UNRWA(ウンルワ)はパレスチナ難民を救済する目的で1949年に国連総会が設立、1950年から今まで68年間、ヨルダン、パレスチナ、シリア、レバノン等中東にいるパレスチナ難民に教育や保健など様々な面でサービスを提供。本部はパレスチナ自治区のガザとヨルダンのアンマンに置かれている。

「アジア杯が行われるヨルダンは実は世界有数の難民受け入れ国だ。パレスチナ難民が200万人、シリア難民が65万人」とヨルダンの現状を語る。試合の行われたスタジアムはヨルダン最大のワヒダット・パレスチナ難民キャンプのすぐ隣にあり、そのキャンプのそばを通ってスタジアムに向かった。

 UNRWA(ウンルワ)は今未曾有の危機を迎えている。米国のトランプ政権が資金援助を大幅に削減したからだ。「我々が提供する、パレスチナ難民の命を守る医療サービスが危機に瀕している。ガザやシリアの治安悪化で難民の健康状態の悪化も心配だ。もちろん我々は医療サービスを必ず提供し続ける。その決意は強い。ただ、平和が必要だ。平和こそ最大の健康の薬だ。日本の勝利に酔いしれながらそう思った」と、清田氏は強い気持ちで今後も活動に取り組んでいくつもりだ。

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