テレ朝、女性社員被害者を公表 福田財務次官セクハラ否定受け6時間後に反論会見

スポーツ報知
深夜に会見したテレビ朝日の篠塚浩・取締役報道局長(右)と長田明・広報局長

 テレビ朝日は19日午前0時、東京・六本木の同局で緊急会見し、女性記者へのセクハラ疑惑をめぐって18日夕方に事実上更迭された福田淳一・財務省事務次官(58)による、同局の女性記者へのセクハラの被害が社内調査によって確認されたと公表した。この日、福田氏が疑惑を完全否定したことを受け、女性記者の意思を確認しての公表とし、テレビ朝日は財務省に抗議することを明らかにした。

 同局の篠塚浩・取締役報道局長によると、女性記者は1年半ほど前から数回、取材のため福田氏と1対1で会食をする機会があったが、そのたびにセクハラ行為を受けていたため、自衛手段として発言内容を録音するようになった。

 今月4日にも福田氏から連絡を受け1対1での飲食の機会を設けたが、セクハラ発言が多数あったため発言を録音。後日、女性記者の上司に相談し、行為を報じるべきだと申し出たが「本人が特定されるおそれがある。報道は難しい」などと諭され、同局で放送することはなかった。

 しかしながら女性記者は「社会的に責任の重い立場にある人物による不適切な行為が表に出なければ、今後もセクハラ被害が黙認され続けてしまうのではないか」という思いを強く持っていたため週刊新潮に連絡。録音データの一部も提供したという。

 テレ朝が緊急会見に踏み切ったのは、福田氏の対応を見てのものだった。午後6時、辞任した福田氏は約70人の取材陣の前で口を開いた。「このような報道が出たのは私の不徳の致すところ。現状では職責を全うできないと判断した」と辞任理由を表明。

 新潮の記事については「事実と異なるものと考えており、裁判で争う」と主張。都内バーで女性記者に「抱きしめていい?」などと話しかけている音声データについては「自分のものかどうか分からない」「あんなひどい会話をした記憶はない」とセクハラ疑惑をかたくなに否定していた。

 女性記者は精神的に大きなショックを受けているものの、今でも、事実を曖昧にしてはならないと強く考えているという。テレ朝の会見は女性記者の意向もあったという。同社は「セクハラ行為があったことは事実。当社は福田氏による当社社員を傷つける数々の行為と、その後の対応について、財務省に対して正式に抗議する予定です」などと方針を明らかにした。

 福田氏のセクハラ疑惑の解明について、財務省は弁護士に被害女性が名乗り出なければ調査ができないとし、世論から批判を浴びていた。篠塚報道局長は「当社社員からセクハラの情報があったにもかかわらず、適切な対応ができなかったことに関しては深く反省しております」と、被害女性を苦しい立場に追い込んだことを謝罪。そのうえで、女性記者の行為についても「取材活動で得た情報を第三者に渡したことは報道機関として不適切な行為であり、当社として遺憾に思っています」と話した。

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