離婚協議中の夫が溺死装い殺害か 妻に保険金3000万

スポーツ報知

 和歌山県白浜町の臨海浦海水浴場で昨年7月、シュノーケリングをしていた大阪市旭区の飲食店長、野田志帆さん(当時28)を溺れさせて殺害したとして、県警捜査1課は20日までに、殺人の疑いで夫の運転手、孝史容疑者(29)を逮捕した。捜査関係者などによると、2人は離婚協議中で、志帆さんには孝史容疑者を受取人に3000万円の生命保険がかけられていた。県警は水難事故に見せかけた保険金殺人事件の疑いがあるとみて調べている。

 和歌山県警によると、孝史容疑者は、志帆さんが殺害される数か月前までに、互いを受取人にした複数の生命保険に加入。海に行こうと誘ったのは、孝史容疑者で、計画的な保険金殺人事件の疑いがある。孝史容疑者は黙秘している。

 逮捕容疑は、昨年7月18日午後4時50分ごろ、志帆さんを溺れさせ、殺害した疑い。志帆さんは2日後に搬送先の病院で死亡した。志帆さんの体内から大量の砂が見つかっていたことも判明。浅瀬で顔を沈められ砂をのみ込んだ可能性があるという。孝史容疑者が「妻が溺れていた」と示した場所は水深2メートルほどで、医師の所見と矛盾していた。県警は発覚を恐れて虚偽の説明をしたとみている。

 県警が押収した孝史容疑者のスマートフォンを解析した結果、事件前の検索履歴に「水死」や「見せかけて」などの単語が残っていたことも判明した。

 事件前、志帆さんは夫の女性関係などを両親や知人に相談していた。事件後、現場に駆けつけた志帆さんの上司は、孝史容疑者が「白浜には毎年来ているのに」と肩を落とし、悲しむ様子を見たという。

 志帆さんは岩場で溺れ、孝史容疑者が監視員に助けを求め、共に救助。当時、現場の岩場周辺には遊泳客がおらず、志帆さんが溺れているのを目撃した人もいなかった。孝史容疑者は当時、「トイレに行っている間に溺れた」と説明したが、スキューバダイビングのライセンスを持っていながら溺れたことや遺体の解剖結果に不自然な点があった。

 孝史容疑者は昨年12月、以前勤務していた会社でペット用の衣料品約30万円相当を盗んだとして窃盗などの疑いで和歌山県警に逮捕され、「金がなかった」と供述していた。盗品をフリーマーケットアプリで売っていたとみられる。県警は昨年12月以降、窃盗などの疑いで同容疑者を計4回逮捕、うち3件の窃盗事件が起訴された。

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