はしか流行でワクチン接種呼びかけ…沖縄県内1か月で66人、愛知で2次感染も確認

スポーツ報知

 先月下旬に沖縄県を訪れていた台湾の30代男性を手始めに、同県内では20日までの約1か月間で66人がはしかと診断され、連日患者が増加している。旅行後に同県を離れた後に発熱して発症した例もあり、全国的に広がる恐れがあるとして、厚生労働省は全国の医療機関に注意喚起を通知した。各地に出掛けることで不特定の人と接触する機会が増加するゴールデンウィーク(GW)を前に、ワクチン接種の重要性が見直されている。

 2015年の3月に世界保健機関(WHO)から「排除状態」の認定を受けていたはしかの患者が、沖縄県で増加の一途をたどっている。最初に確認された台湾から来た男性は、3月17日から沖縄本島を旅行中、同20日に診断された。その後、この男性と直接接触がなかった人も含めて症状を訴える人が次々と発生。4月20日現在、県内での患者数は66人にまで増えている。

 那覇市の県庁前にあるデパート「リウボウ」では、先月下旬に市の保健所から出された「はしか患者との接触が疑われた方へ」と題した注意喚起書を社内に掲示。加えて、1週間ほど前に社内報で「発熱等の症状が出たら、医師の診断を仰ぐこと」「家族に罹患(りかん)者が出たら、社に報告し3日ほど自宅待機」などと告知した。ただし、接客業とあって「ずっとマスクをするわけにもいかない」と、店員の業務上における予防は難しいとの声も上がっている。

 一方、潜伏期間が10~12日であることから、現地を離れた後に発症し、「2次感染」を引き起こす例も。埼玉県に住む10代の男性は、3月28日~4月2日に沖縄を旅行した後、6日に症状が始まった。翌日、新幹線を利用して名古屋市に帰省し、市内の病院で受診したところ、勤務する30代女性も感染したという。

 今後はGWを迎え、各地の「交流人口」が増えることから感染がさらに拡大する可能性もある。感染を防ぐにはワクチンを接種する必要があるが、世代などによって状況が異なるため、確認が必要となる。

 今回の66人のうち、半数は20~30代。これは1978年10月~90年4月1日までに生まれた世代は、ワクチン定期接種回数が効果が出ない人もいる「1回」のためとみられる。これ以降の世代は、ほとんどの人に免疫が付く2回接種を原則としており、一方、これ以前の世代は子供の頃の感染で免疫力が比較的高い人が多いとされている。

 ただ、この世代ではない人でも油断は禁物だ。以前の世代では、感染の記憶があやふやになっていることが考えられるほか、免疫力が落ちている可能性もあることから、抗体検査を受けた方が確実。以降の世代でも、母子手帳などで2回接種の確認を行うことが推奨されている。

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