フランス・パリの日本人街近くで刺殺テロ イスラム国が犯行声明

スポーツ報知
フランス・パリの観光名所周辺でのテロ被害

 パリの中心部で観光名所としても知られるオペラ座の近くで12日午後9時(日本時間13日午前4時)ごろ、刃物を持った男が通行人らを襲撃し、男性1人が死亡、4人が負傷した。男は現場に駆け付けた警官隊に射殺された。男は「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫びながら襲撃しており、検察当局はイスラム過激派に関連したテロの疑いがあるとみて、捜査を始めた。付近にはパリ有数の日本人街がある。

 現地メディアによると、容疑者の男はイスラム教徒が多いロシア南部・チェチェン共和国の出身で20歳。10代前半でフランス国籍を取得していた。目撃者は黒のジャージー姿で茶色の髪、あごひげを生やしていたと話しているという。テロの要注意人物としてマークされていたとの話もあり、現在両親が拘束されている。過激派組織「イスラム国」(IS)は系列ニュースサイトを通じ、犯行は「ISの戦士が実行した」との声明を出した。

 在フランス日本大使館は13日、死傷者に日本人は含まれていないことを明らかにしたが、付近は日本人が多く集まる場所だった。現場はオペラ座から南東に約200メートル離れたパリ2区の地下鉄「9月4日駅」に近いモンシニー通り。そこから数十メートルの場所には、日系の飲食店や食料品店が軒を連ね、“パリの日本人街”とも呼ばれる「サンタンヌ通り」がある。

 現場近くの日本食レストラン「金太郎」のマネジャー、浜富夫さん(35)は「『事件だ』『助けて』と叫ぶ人たちが店内に走り込んできた。食事中のお客さんもパニック状態になり、店頭のガラス窓が割れた」。また、カフェのテラスで殺傷現場を目撃した40代の男性は「男は飲食店の入り口付近で女性客を刺し、制止しようとした男性客も刺した。男性客は喉を切られた様子だった」と青ざめた表情で語った。

 フランス内務省によると、死亡したのは通行人の29歳の男性。負傷者のうち、34歳の男性と54歳の女性は重傷で、他の男女各1人は軽傷とみられている。付近は土曜の夜のため、多数の観光客や飲食客らで混雑していた。外務省はホームページで「付近の道路及び地下鉄駅等は封鎖されており、現場付近に近づかないようにお願い致します」と呼び掛けた。

 パリでは、2015年11月に劇場と近くの飲食店、郊外の競技場で同時多発テロが発生し130人が死亡。観光名所周辺でも複数の襲撃事件が起きている。日本人観光客にも人気のパリだが、外務省は「テロに対する特別な警戒が必要」としている。

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