カロリーナ女流1級、ダジャレきっかけで栄養スポンサーに…アニメにもなった

スポーツ報知
カロリーメイトとタッグを組み、飛躍を目指すカロリーナ・ステチェンスカ女流1級

 史上初の外国人女流棋士であるポーランド人のカロリーナ・ステチェンスカ女流1級(26)が4月、栄養補助食品「カロリーメイト」を販売する大塚製薬と栄養スポンサー契約を結んだ。将棋界では異例のコラボレーションとなったが、なんと「きっかけは…ダジャレです」。さらにカロリーメイト愛好家として知られる元名人の丸山忠久九段(47)も同社CMに出演。ファンを驚かせている。(北野 新太)

 オファーを聞いた時はジャパニーズジョークに違いない、と思ったらしい。カロリーナは笑う。「だってカロリーメイトとカロリーナですからね…。ダジャレでスポンサー契約を結ぶ、なんてことあるのかな~って」。来日5年。驚きを表す日本語もすっかり上達した。

 一方で、来日直後から「似てるな…」とひそかに思い、けっこう好んで口にしていた。「大学(山梨学院大)の自動販売機にあったので、よく買って食べたりしてました。好きなのはブロックタイプのチョコレート味とゼリータイプのアップル味。おいしいです」

 今後は商品提供を受け、対局中に摂取することなどを通してPRする。今月11、12日に連戦した対局でも盤側にカロリーメイトを準備。勝負どころでエネルギーを補給した。「将棋を指す上でのコンディショニングにエネルギーはとても大事なので、助かりました。負けてしまった(1勝1敗)のは残念ですけど…」。6月には自らが主人公になったアニメ「すすめ、カロリーナ。」が同社ホームページなどで公開される。「少し恥ずかしいけれど、うれしいです」

 大塚製薬広報部は、抜てきの理由を「考える時もバランスの良い栄養が必要というメッセージを伝えるため、頭脳スポーツの将棋に着目しました。さらに、カロリーナさんはカロリーメイトが応援する『夢に向かって進む人』『考える人』の象徴的存在と考えたので」としながら、担当者は「名前に運命的なものを感じました…」と明かす。

 昨年2月、女流棋士正資格である女流2級に。史上初の外国人女流棋士としてデビューした。今年3月には山梨学院大大学院を修了し、都内で人生初の一人暮らしを始めた。やはり、気を配るのは食生活だ。「できるだけ自分で作るようにしてます。山梨の寮の頃はスーパーまで徒歩20分だったけど、今は近くになったので。牛丼を作るのに砂糖を入れるのはビックリしましたね。今のチャレンジはカレーです。みんな『カンタン』って言うけど信じられない…」

 女流棋士としての日常に慣れ、対局中の出前に大好きな天ぷらそばを注文する心の余裕も生まれた。「最初はメニューを渡されても何が書かれているか全然分かりませんでしたけど」

 成長の証しは盤上に表れ始めている。今年1月、本紙主催の女流名人戦予選準決勝では史上最多のタイトル獲得通算43期を誇る清水市代女流六段(49)を破る大番狂わせを演じた。「清水先生に勝てたことは自分にとって大きなことでしたけど、その後の決勝で負けたことが反省。もっと走りたい。新しい人にならないといけない」

 挑戦を始めたばかりのカロリーナにとって、カロリーメイトは心強い相棒になるだろう。

 ◆カロリーナ・ステチェンスカ 1991年6月17日、ポーランド・ワルシャワ生まれ。26歳。片上大輔六段門下。2008年、日本漫画「NARUTO」翻訳版で将棋を知る。インターネットで棋力を高め、12年に海外招待選手として参加した棋戦で女流棋士に勝利。13年に来日し、女流棋士養成機関「研修会」入会。15年、仮資格の女流3級。17年、正資格の女流2級。振り飛車党。家族は両親と双子の妹。

 ◆“勝負メシ”丸山九段が新CMに

 3月末に初オンエアされたカロリーメイトゼリーの新CMに丸山九段が登場するや、将棋ファンは沸きに沸いた。

 カロリーメイトを対局時の必携品としてきた元名人は「長年、対局の時に使わせていただき、好きな商品なのでうれしく思いました」と朗らかな声で感謝する。「ブロックタイプはプレーンがいちばん好きで、メイプルやチョコも…。ゼリーも好きです。あとは缶ドリンク1本200キロカロリー、ブロック1本100キロカロリーで計算しやすいのもいいですね」

 普段は体を鍛え、厳しく節制するが、対局時の「カラアゲ定食にカラアゲ3個追加」「冷やし中華にチャーシュー6枚追加」など、伝説の注文でファンをうならせてきた。「普段は好きなものを食べていますけど、対局の時は仕事として食べています。とにかく栄養が切れてしまわないように、ということをいつも考えています」。全ては勝つために―。丸山九段の言葉は、棋士のストイシズムを端的に語っている。

 ◆丸山 忠久(まるやま・ただひさ)1970年9月5日、千葉県木更津市生まれ。47歳。佐瀬勇次名誉九段門下。90年、四段昇段。2000年に初タイトルの名人を獲得。翌年連覇。02年には棋王を奪取。棋戦優勝12回。棋風は「激辛流」と称される。

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